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皮膚がバリア機能を保ちながら新陳代謝できるしくみが解明

Posted on 2016.12.29

o1032063013813213195ヒトの皮膚は1時間に2億個の表皮細胞が失われ、さらに1日で50億個の表皮細胞が死んでいきます。それなのに、どうして私たちの皮膚から、体液が漏れ出したりせずに、細菌やウイルスに感染することがないのでしょうか? それは、死んでいく表皮細胞の代わりになる新しい表皮細胞を次々と作り出し、古い細胞と新しい細胞の入れ替えができているからです。

しかし、どうやってバリア機能を保ったまま、古い細胞と新しい細胞の入れ替えができるのか、そのメカニズムについては、未解明でした。このような表皮細胞の代謝メカニズムに関する詳細な研究成果が、英国のインペリアルカレッジロンドンと、慶応大学などの共同研究で明らかになり、2016年11月の『eLife』という科学雑誌に掲載されました。

この研究によると、表皮細胞は「ケルビンの14面体」と呼ばれる同じ形をした「細胞などが最も効率よく隙間を作らずに空間を埋め尽くすことのできる多面体」を平たくつぶした形をしていることが明らかになりました。

さらに、平坦なケルビンの14面体をした表皮細胞同士の隙間を埋めて細胞同士を密着させてウイルスや細菌の侵入を防ぐ役目を果たしている「密着結合(タイトジャンクション:TJ)」があり、このTJが、表皮細胞の代謝のコントロールにも深くかかわっていることが明らかになりました。

研究ではTJが発光するネズミの耳の細胞を使って観察が行われました。古くなって寿命を迎えた表皮細胞の下に、新しい表皮細胞ができると、古い細胞は皮膚の表面に向かって上に押し出され、古い細胞はTJを失うことで、ほかの細胞との密着結合を失って、剥がれ落ちて垢となるように、規則正しくコントロールされていることで、細胞の入れ替わりのときにもバリア機能が失われないのです。

研究者らは、TJが何らかの影響によって「誤動作」することで、皮膚のバリア機能が弱められ、細菌の浸潤、炎症、掻痒、湿疹、アレルギーなどが引き起こされるのではないかと推察しています。

今後の研究では、TJの誤作動でバリア機能が損なわれると、なぜ表皮細胞が過剰に生産されて皮膚が赤く肥厚するのかを解明して新しい治療法を見出したり、加齢に伴うバリア機能の低下や代謝の不活性化を克服して、皮膚のエイジングケアに役立てる方法の開発など、期待が広がります。

動画はこちら

http://dx.doi.org/10.7554/eLife.19593.013

【出典】 Mariko Yokouchi, Toru Atsugi, Mark van Logtestijn, Reiko J Tanaka, Mayumi Kajimura, Makoto Suematsu, Mikio Furuse, Masayuki Amagai, Akiharu Kubo. Epidermal cell turnover across tight junctions based on Kelvin's tetrakaidecahedron cell shape. eLife, 2016; 5 DOI: 10.7554/eLife.19593

 

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Profile

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健美塾リーダー
宇山 恵子(うやま けいこ)

京都府立医科大学特任教授、東京医科歯科大学非常勤講師。大学卒業後、新聞社、広告会社で医療・美容・ダイエットなどの取材を担当。英語とフランス語を生かし、海外アンチエイジング情報の翻訳、取材も行う。現在は医療・美容ジャーナリスト、ヨガインストラクター、書道講師、メノポーズカウンセラーの視点からもアンチエイジング情報を発信中。