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コラム

性と生殖

空間認知能力の男女差はテストステロンの影響?!

Posted on 2013.2.25

性化学

10年ほど前、脳の男女差が行動の違いに影響を及ぼしていることを分かりやすく説明 した「話の聞けない男、地図の読めない女」という本が、日本も含め世界的にベストセラーになりましたが、脳の性差については進化のプロセスで環境に適応す るために、こうした違いが生じたと考えられてきました。

空間認知能力に関しては男性の方が女性よりも高い理由として、男性の仕事とされる狩りで獲物を得るために必要な能力として、長い間に遺伝的な違いが生じたのではないかという仮説で説明されてきました。

こうした仮説を覆す可能性のある研究が、米国イリノイ大学のJustin Rhodes博士らによってThe Quarterly Review of Biology 2012年12月号に発表されました。

博士らは縄張りの範囲と空間認知能力に関する11種類の生物(コウイカ、ネズミ類、ウマ、人間、アカゲザルなど)を対象とした35の研究を分析しました。

その結果、11種のうち8種の生物でオスのほうがメスよりも空間能力がすぐれていることが明らかになりました。

博士らは、以前の研究で女性にテストステロンを投与すると、空間ナビゲーション能力が向上することを示した研究結果を踏まえた上で、今回の結果から考えると、男性の空間認知能力の高さは進化論者や進化心理学者の仮説のように、性淘汰と適応の産物ではなく、オス特有のテストステロンの多さに由来する副次的効果であると考えるほうが合理的だろうとしています。

博士は適応によって性差が生じるとすれば、その性質が一方の性にとっては生き残るために良いものであるのに対し、もう片方の性には悪いものであるというよ うな特性であるはずだが、空間認知能力が高いことが、女性に不利益なこととは考えられないし、またなぜ父親から遺伝しないのかも説明できないので、テスト ステロンの影響と考えるのが最も分かりやすいと結論付けています。

The Quarterly Review of Biology 2012年12月号

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Profile

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健美塾リーダー
宇山 恵子(うやま けいこ)

医療美容ジャーナリスト
オールアバウトアンチエイジングガイド

東京医科歯科大学特任講師。大学卒業後、新聞社、広告会社で医療・美容・ダイエットなどの取材を担当。海外アンチエイジング情報の取材・原稿執筆が得意。老人介護の現場で書道講師としても活躍中。2018年現代書作家協会展臨書部門「大賞」受賞。王義之、空海、橘逸勢などの臨書を中心に作品制作を行う。