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レポート

糖尿病患者の脂質管理で心血管疾患発症リスクは下がるか?

Posted on 2013.5.1

 





今夜の記者セミナー。

今夜の講師、慶應義塾大学医学部教授の伊藤裕先生から久し振りにあの!モナリザの話を聞いたので、書いておこう。伊藤先生は以前から、モナリザの眼のまわりには、黄色腫(キサントーマ)があり、さらにBMIが30だったという試算もあることから、モナリザは高脂血症で肥満だったと推理している。黄色腫(キサントーマ)に関しては、私も翻訳記事を作っている。「老けて見えるのは心臓が悪いサイン?」








さて、今夜の本題…

5月最初の記者セミナーは、糖尿病網膜症で高コレステロール血症の患者さん5000人を対象に、スタチンという薬でLDLコレステロールを低下させる治療 を行った場合、どの程度、心血管病(脳卒中や心筋梗塞など)の発現や、糖尿病の進行を抑えられるかを調べる「エンパシー研究」に関する研究計画の発表会。



糖尿病患者は現在急増中。2200万人が糖尿病が強く疑われるか、可能性を否定できない人だという。そのうち、約45%、1000万人が高コレステロール血症を合併し、約10~20%、100万~200万人が糖尿病性網膜症になる可能性がある。



糖尿病性網膜症は、高血糖により網膜の血管がもろくなり、詰まったり、こぶができたり、新しい血管が次々とできて、網膜が光を感じにくくなることで、資料が低下し、悪化すると失明してしまうこともある。日本人の中途失明原因のトップが、糖尿病性網膜症だ。



さてこのエンパシー研究。

現在3800人の糖尿病性網膜症で高脂血症の患者さんのエントリーが済んでおり、5000人の参加が目標。



2013年末から2015年まで研究観察が続けられる見込み。研究結果がまとまるのは、おそらく2016年頃。まだ先のことだ。





東京大学大学院医学研究科循環器内科の小室一成教授は、糖尿病の合併症のうち、大血管障害(心筋梗塞や脳卒中)は血糖値をコントロールしても、予防効果をうまく発揮できずに、心血管疾患によって尊い命を落としてしまう糖尿病患者が増えているという。







一方、海外の大規模臨床研究で、コレステロール値(LDLコレステロール)を低下させることで、心血管疾患のリスクを低下させることができるという報告があった。



つまりLDLコレステロールを低下させることで、動脈硬化の進行を遅らせることができるということだ。



これが「Lower the better」(LDLコレステロールは低い方が良い!)の根拠。



2008年から米国では、

①冠動脈疾患がある患者、糖尿病で冠動脈疾患のリスクが1つ以上ある患者には、LDLコレステロール値を70未満



②2つ以上の冠動脈疾患のリスクを持つ患者、または糖尿病患者は、LDLコレステロール値を100未満



にするという管理目標を設定した。



この流れを受けて、日本でも2012年に動脈硬化疾患予防ガイドラインが作られ、心血管疾患の発症に関する危険度によって、LDLコレステロール値の管理目標が設定された。



今回の「エンパシー研究」は、日本のガイドラインの数値が実際に即したものであるかどうかを確認するためのものでもあるという。



また今回、糖尿病の3大合併症のうち、糖尿病性網膜症患者の心血管疾患予防に着目した研究は、世界にも日本にも過去例がなく、初の試みとして世界から注目されるはずだ。



糖尿病網膜症は、自覚症状がないうちに進行し、気が付いたときには視力がかなり失われてしまっていたということも少なくない。



この研究成果をもとに、糖尿病性網膜症の早期発見と治療に役立てたいと慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の伊藤裕教授は抱負を語った。



2人の医師は、血圧や血糖値に比べて、コレステロール値は薬の効果が高く、コントロールしやすいというメリットがあると述べていた。



糖尿病患者は、血糖だけでなくLDLコレステロールもコントロールする必要が本当にあるのだろうか?結果が待ち遠しい。



(今夜のセミナーは、塩野義製薬が主催でした)

 

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Profile

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健美塾リーダー
宇山 恵子(うやま けいこ)

医療美容ジャーナリスト
オールアバウトアンチエイジングガイド

東京医科歯科大学特任講師。大学卒業後、新聞社、広告会社で医療・美容・ダイエットなどの取材を担当。海外アンチエイジング情報の取材・原稿執筆が得意。老人介護の現場で書道講師としても活躍中。2018年現代書作家協会展臨書部門「大賞」受賞。王義之、空海、橘逸勢などの臨書を中心に作品制作を行う。