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    TPPは命や健康にかかわる 問題であることを忘れるべからず!







    昨年後半、テレビや新聞で騒がれたTPP問題。あのときは気になったけど、ニュースなどで見聞きする機会が減って、他人事と思っている人もいる のでは? 実は、TPPは私たちの美容・食・医療に深く関与する。「TPPは自由経済を推進する」と言えば聞こえはいいが、自由には「リスク」が伴う。農 薬、遺伝子組み換え、医療崩壊……TPPがそんなリスクを抱えていることを、きちんと理解しよう。



    【TPP 環太平洋経済連携協定とは?】

    TPPの目的は、国によって異なる経済や社会のしくみを統一し、関税を撤廃して、国境を越えて人、モノ、サービスが自由に行き来できるようにしようというもの。

    【協定の内容】

    ●一切の例外を認めずに関税を撤廃

    ●雇用・投資・知的財産・通信サービス・銀行・保健・ 医療・食品の安全基準などのルールや仕組みを統一

     

    【TPPのメリット】

    ●輸入品の関税がなくなり価格が低下する

    ●工業製品の輸出が増加し景気が回復する

    ●海外の公共事業を受注できるようになり景気が回復する

     

    【TPPのデメリット】

    ●関税で保護されていた国内の産業が低迷

    ●低賃金の外国人労働者が増加し、国内の失業者が増える

    ●遺伝子組み換え、農薬の基準などが甘くなり、食の安全性が低下

    ●自費診療の増加による医療費の高騰、健康保険制度の崩壊



    農薬、食品添加物まみれ……。 食の安全が消える?



     


    スーパーには外国産の野菜や米が安い値段でズラリと並び、日本産のものが見当たらない。国産の肉や牛乳も姿を消した。レジに行くと日本人の店員が見当たらない。病院に行くと言葉が通じない医療スタッフが増えた。やけに診療代が高い......。
    TPPにはそんな、今とは違う世の中を引き寄せてしまう危険がある。TPPは自由貿易、自由経済を推進する取り決め。でも「自由」には大きな落とし穴がある。もしTPPに参加し、締結、そして施行された場合、考えられるのはこんな状況だ。
    「日本はすでに工業製品も農業製品も関税は低く、食品の海外依存率も60%に達するほど、世界で最も『開国』されています。さらに『開国』を徹底するというのは、『最後の砦』を自ら明け渡すようなもの」と話すのは東京大学教授の鈴木宣弘先生。



    「最 後の砦」が崩れるということは、例外なく関税を撤廃し、ルールや仕組みが統一され、人、モノ、サービスの交流は促進される。安い海外製品がどんどん売れ る。しかし「安かろう、悪かろう」という言葉の通り、TPPによって食品安全基準のルールが甘くなり、遺伝子組み換え食品や、食品添加物や農薬にまみれた 食品が増える可能性は非常に高くなる。




    「殺虫剤や殺菌剤などの残留農薬について、日本はアメリカより、ものによっては80倍も厳しい基準を設けています。TPPにより、食品安全基準が甘くな り、アメリカの基準に合わせることになれば、残留農薬も増え、日本では認められていない食品添加物も2000種類以上が使用可能になると考えられます。 BSE狂牛病)問題で20ヵ月齢以下の牛肉のみに輸入制限していることに関しても見直しが要求されています」と、TPPによって日本の食の安全が守れな くなることを危惧する鈴木先生。 発がん性が危惧される遺伝子組み換え牛成長ホルモン(rbST)を注射された牛から搾った牛乳を知らないうちに飲まされてしまう危険だって生じるのだ。
    良い医療が受けられなくなる危険性もあり
    食品だけではない。TPPによって海外の医療サービスが参入し、「自由診療」が増え、「国民皆保険」をベースにした日本の医療保険制度も崩壊する可能性がある。
    「TPPに参加すれば、日本もアメリカのように、高額の治療費を払える人しか良い医療が受けられなくなるでしょう。地域医療も今以上に崩壊していくことは明らかです」と話す鈴木先生。美容も医療も今と同じようなスタンスでいることはできなくなるわけだ。



     


    割高であっても日本の農家を応援する姿勢が必要



    「TPP 問題より以前から、日本の農林水産業はすでに高齢化、就業人口の減少、耕作放棄などで疲れ切っています。そこに追い打ちをかけるように、農家一戸当たりの 平均耕地面積が約2haの日本と200ha近くあるアメリカが、同じルールで競争しろという。一度荒れ果てた農地を元に戻すのは容易なことではありませ ん。TPPは命や健康にかかわる問題であることを忘れないでください」と強く語る鈴木先生。
    スーパーに並ぶ外国製の安い卵や牛乳や野菜。でも、そういったものではなく、狭い土地を有効活用して、汗水流して日本の農家の人々が作ったものを割高であっても選ぶ。これが、食や健康を守るためには必要だということを忘れてはいけないのだ。



    【プロフィール】
    東京大学大学院農学国際専攻教授
    鈴木宣弘(すずき・のぶひろ)先生


    1958 年、三重県生まれ。東京大学農学部卒。農林水産省、九州大学教授を経て、2006年より現職。専門は農業経済学、国際貿易論。日中韓FTA、日コロンビア FTAの各産官学共同研究会委員、関税・外国為替等審議会委員。主著に『震災復興とTPPを語る〜再生のための対案』(共著・筑波書房)、『TPPと日本 の国益』(共著・大成出版社)、『食料を読む』(共著・日経文庫)など。



    取材・文/宇山恵子

     

Profile

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健美塾リーダー
宇山 恵子(うやま けいこ)

医療美容ジャーナリスト
オールアバウトアンチエイジングガイド

東京医科歯科大学特任講師。大学卒業後、新聞社、広告会社で医療・美容・ダイエットなどの取材を担当。海外アンチエイジング情報の取材・原稿執筆が得意。老人介護の現場で書道講師としても活躍中。2018年現代書作家協会展臨書部門「大賞」受賞。王義之、空海、橘逸勢などの臨書を中心に作品制作を行う。