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肥満と過剰な体脂肪は喫煙よりも死亡リスクを高める

Posted on 2021.5.16

肥満と過剰な体脂肪は、喫煙よりも死亡リスクを高めることが、イギリスとスコットランドの研究で明らかになり、2021年2月の『BMC Public Health』で発表されました。

この研究では、平均年齢50歳の英国とスコットランドの192,239人の成人を対象に、英国の健康調査とスコットランドの健康調査の一環として2003年から2017年の間に収集されたデータを分析しました。 さらに研究者らは、データを喫煙と死亡リスク関連の17件の研究結果と、肥満と過剰な体脂肪と死亡リスクに関する198件の研究結果を組み合わせて、喫煙、肥満、過剰な体脂肪に起因する可能性のある死亡数を計算しました。

その結果、16歳から44歳の若い世代では依然として喫煙が死亡リスクと関連しているものの、45歳以上では喫煙よりも肥満と過剰な体脂肪の方が死亡リスクを高めていることがわかりました。さらに研究実施期間中に、肥満と過剰な体脂肪による推定死亡数は女性で25.9%、男性で31%増加したと考えられていますが、喫煙による死亡は女性で18.1%、男性で14.9%減少したと考えられています。

この結果について 「肥満と過剰な体脂肪による推定死亡数の増加は、がんと心血管疾患の発症リスクを高めていることと関係している可能性がある。私たちの調査結果は、喫煙の蔓延を減らすことを目的とした公衆衛生と政策介入が成功したことを示す反面、特に中高年の男性に焦点を当てた肥満と過剰な体脂肪を減らす政策的介入が優先事項であることを示しています」と述べています。

研究者らは、この研究における喫煙、肥満、過剰な体脂肪に起因する死亡数は推定値であり、これらの死亡に影響を与える要因についてはさらに調査が必要であると述べ、将来の研究では電子タバコの使用、受動喫煙の影響、肥満と過剰な体脂肪による死亡リスクが人種によって異なるかどうかを調査する予定だということです。

【出典】

Frederick K. Ho, Carlos Celis-Morales, Fanny Petermann-Rocha, Solange Liliana Parra-Soto, James Lewsey, Daniel Mackay, Jill P. Pell. Changes over 15 years in the contribution of adiposity and smoking to deaths in England and Scotland. BMC Public Health, 2021; 21 (1) DOI: 10.1186/s12889-021-10167-3