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幼児期の食生活が遺伝子や寿命に影響

Posted on 2022.12.9

幼児期の食生活が遺伝情報に影響を与えて、成長してからの病気の発症や寿命にも影響を及ぼすことが、英国ロンドン大学の研究で明らかになり、2022年12月の「Nature Aging」に掲載されました。

この研究は、ショウジョウバエの幼虫に、高糖食を与えた結果、寿命が短くなることを発見し、そのメカニズムを解明したものです。 さらに研究者らは、糖分の多い食事が 「dFOXO」 と呼ばれる転写因子(遺伝子発現の最初の重要なステップである、DNA からメッセンジャー RNA への情報の転写またはコピーを調節するタンパク質)を阻害することを発見しました。dFOXO は、グルコース代謝に関与し、寿命に影響を与えることが複数の研究で知られています。

研究者は、この発見が人々の晩年期の健康に影響を与える方法につながる可能性があると述べ、 何年にもわたって大幅な食生活の変化があった後でも、 人々がより長く健康を維持できるようにするために、人生の後半でこれらの変化に対抗する方法を開発できるかもしれないと述べています。

【出典】

Guillermo Martínez Corrales, Mengjia Li, Tatiana Svermova, Alex Goncalves, Diana Voicu, Adam J. Dobson, Tony D. Southall, Nazif Alic. Transcriptional memory of dFOXO activation in youth curtails later-life mortality through chromatin remodeling and Xbp1. Nature Aging, 2022; DOI: 10.1038/s43587-022-00312-x