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甘味は食欲を減らす

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Posted on 2020.11.21

1人あたりの砂糖の年間消費量はドイツで約33キログラム、オーストリアで34キログラムにも及び、世界中にその国を代表するお菓子があるほど、甘味は人間が好きな感覚のようです。
今回紹介する研究では ブドウ糖とショ糖を使った二重盲検検査を実施。 18〜45歳の合計27人の健康な男性が、10%のブドウ糖溶液、10%のショ糖溶液、または60ppmのラクチゾール( ラクチゾールは甘味の知覚を低下させる物質) を添加したブドウ糖・ショ糖溶液(どのカロリーも同じ)のいずれかを飲んでもらい、その2時間後に被験者は好きなだけ朝食をとることができました。溶液を飲んでから2時間の待機時間内に被験者の血液サンプルを2回採取し、体温を測定しました。
ラクチゾール含有ショ糖溶液の摂取後、試験者は、ラクチゾールなしのショ糖溶液を飲んだ後よりも、朝食からのエネルギー摂取量が約13パーセント増加し、約100キロカロリー多く食べたことになりました。さらに、このグループの被験者は、体温の低下と血漿セロトニン(セロトニンは食欲抑制効果のある神経伝達物質)濃度の低下を示しました。
この結果について、甘い味覚は、エネルギー摂取量に関係なく満腹感とエネルギー摂取量を調節することを示唆していると研究者は述べています。
【出典】 Kerstin Schweiger, Verena Grüneis, Julia Treml, Claudia Galassi, Corinna M. Karl, Jakob P. Ley, Gerhard E. Krammer, Barbara Lieder, Veronika Somoza. Sweet Taste Antagonist Lactisole Administered in Combination with Sucrose, But Not Glucose, Increases Energy Intake and Decreases Peripheral Serotonin in Male Subjects. Nutrients, 2020; 12 (10): 3133 DOI: 10.3390/nu12103133