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血中脂肪過多は細胞を傷つける

病気老化肥満食

Posted on 2022.4.9

英国リーズ大学の研究で、肥満やⅡ型糖尿病のある人の高脂血症は、以前考えられた以上に有害であることが判明し、2022年4月の「Nature Communications」に発表されました。

この研究によると、血中の脂肪の量が長期に及んで高い状態にあると、細胞内でタンパク質や脂質の合成を調整する「小胞体」が機能不全を起こし、タンパク質の合成が制限され、組織や細胞に損傷を与えることが明らかになりました。脂肪から発信される信号は短期的には細胞内のストレスを軽減する働きもありますが、長期的になると細胞損傷を起こして症状を悪化させて病気を進行させる可能性があるということです。

この結果について研究者は、肥満で血糖値が高めの人は、以前以上に中性脂肪やコレステロール値が高止まり状態になっていないように注意することが重要だと述べています。さらに この研究は、肥満の人の細胞内でストレスがどのように発生するかについての新しい視点を提供し、代謝性疾患の新しい治療法を開発する際に貢献するものになると期待しています。

【出典】 Ben D. McNally, Dean F. Ashley, Lea Hänschke, Hélène N. Daou, Nicole T. Watt, Steven A. Murfitt, Amanda D. V. MacCannell, Anna Whitehead, T. Scott Bowen, Francis W. B. Sanders, Michele Vacca, Klaus K. Witte, Graeme R. Davies, Reinhard Bauer, Julian L. Griffin, Lee D. Roberts. Long-chain ceramides are cell non-autonomous signals linking lipotoxicity to endoplasmic reticulum stress in skeletal muscle. Nature Communications, 2022; 13 (1) DOI: 10.1038/s41467-022-29363-9