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【メディカル】エネルギー代謝率が高い人は早期老化、自然死リスクが高め?

老化

Posted on 2011.5.4

taishaエネルギー代謝が高いと、ヒトの場合でも老化が早まり、自然死死亡率リスクが高まることが、米国アリゾナ州フェニックスの National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, National Institutes of Healthに所属するReiner Jumpertz博士らの研究で明らかになり、2011年3月30日付のThe Journal of Clinival Endocrinology & Metabolismに掲載されました。
エネルギー代謝が高いと、老化が早まり、結果的に早死にすることは、いくつかの動物実験で実証されていましたが、ヒトによる研究に関しては今まで明確な報告がありませんでした。
今回の実験は、糖尿病にかかっていない健康なピマインディアン系のボランティア被験者652人を対象に、1982年から2006年まで実施された調査結果を もとに分析したものです。全被験者のうち、508人に24時間エネルギー消費率、384人に安静時代謝率、240人に別の日に前述の2つの数値を測定。そ れぞれの数値は、年齢、性別、体重などを考慮に入れて調整し、24時間エネルギー消費率は1985年~2006年までの数値の変化、安静時代謝率は 1982年~2006年までの数値の変化を調査しました。この期間に自然死した被験者は27人でした。
その結果、24時間エネルギー消費率が100kcal増加するごとに、自然死亡率リスクが1.29倍増加し、安静時代謝率の増加に関しても100kcal増加するごとに、自然死亡率リスクが1.25倍高まることがわかりました。
これはエネルギー代謝の増加によって、フリーラジカルの発生が高まり、これによって老化が進んで、結果的に自然死のリスクが高まるのではないかと推察されます。ただし、この結果には、通常の運動によるエネルギー消費には関連性がないということです。
また今回の研究結果は、カロリー制限によって寿命が延びるメカニズムの解明に役立つのではないかと考えられます。