コラムColumn

DNAのメチル化と寿命

老化

Posted on 2015.4.4

csne001-s英国エジンバラ大学の研究で、新たな寿命を予測する方法として、血液を採取して解析し、DNAのメチル化解析を行うことが有効であることがわかり、2015年1月の『Genome Biology』で発表されました。
こ の研究は、高齢者約5000人を最大で14年間、血液サンプルの採取や生活習慣に関する追跡調査を行った4つの研究結果を分析したもの。その結果、DNA のメチル化が加速的に増加する傾向になる高齢者は、そうでない高齢者に比べて、近い将来の死亡リスクが高いことが明らかになりました。
DNA のメチル化とは、DNAを形成する4つの塩基(アデニン、シトシン、チミン、グアニン)の中のシトシンについている水素(H)が、メチル基(CH3)に変 わることをを言いますが、これがDNAにどんな変化をもたらすかというと、「DNAがメチル化すると、遺伝子の働きが制御されてしまう」のです。
DNAのメチル化によって、がんの遺伝子が暴れないように制御することもできるのです。がん細胞のDNAを調べてみると、メチル化の異常が発見され、がん抑制遺伝子が働かなくなって、がんが発生してしまうことが明らかになっています。
今 回の研究結果は、高齢になってからDNAのメチル化が加速すると近い将来の死亡リスクが高まるということですが、これはメチル化によって遺伝子の働きが悪 くなり、がん抑制遺伝子や、さまざまな病気の発生を抑制する遺伝子の働きを悪くしてしまうことで、がんや病気になり、寿命が短くなってしまうというプロセ スを作り出しているのではないかと考えられます。
“DNA methylation age of blood predicts all-cause mortality in later life.”  Genome Biology 2015, 16:25, 30 January 2015.