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老化と炎症を予防するメカニズムを発見

老化

Posted on 2020.2.11

米国カリフォルニア大学バークレー校の研究で、老化に伴う炎症性疾患の発症を予防するメカニズムが発見され、2020年2月6日の『Cell Metabolism』オンライン版で公表されました。

老化に伴う炎症反応の多発化は、糖尿病、認知症、がんなどの発症を引き起こします。今回の研究では、体内の慢性炎症の原因となる免疫機構を制御する分子スイッチを特定しました。この研究チームは過去に老化した肝細胞を若返らせることを示し注目を集めましたが、さらなる研究テーマとして、老化はどの程度回復できるのかについて、炎症やインスリン抵抗性を観察することで検証することを取り上げていました。

研究では「インフラマソーム」と呼ばれる、炎症反応を促進して、糖尿病やアルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、自己免疫疾患などの発症を引き起こす、「タンパク質複合体の構成成分」の1つであるNLRP3という免疫系タンパク質に注目しました。NLRP3はアセチル化されるとスイッチがオンになって炎症反応を促進し、脱アセチル化するとオフになり炎症が抑制されますが、SIRT2という遺伝子が、NLRP3の脱アセチル化に関与して、炎症反応のスイッチをオフにすることが明らかになりました。実際にSIRT2のノックアウトマウスは、通常のマウスに比べて炎症反応が多く発生し、より高いインスリン抵抗性を示しました。

研究者は、今回の研究成果は、主要な慢性疾患の予防と治療に非常に重要な意味を持つと考えられると述べています。

【出典】

Ming He, Hou-Hsien Chiang, Hanzhi Luo, Zhifang Zheng, Qi Qiao, Li Wang, Mingdian Tan, Rika Ohkubo, Wei-Chieh Mu, Shimin Zhao, Hao Wu, Danica Chen. An Acetylation Switch of the NLRP3 Inflammasome Regulates Aging-Associated Chronic Inflammation and Insulin Resistance. Cell Metabolism, 2020; DOI: 10.1016/j.cmet.2020.01.009