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【メディカル】ボトックス注射は言語による感情表現の理解に影響する

美容

Posted on 2010.7.17

boto米国・アリゾナ州立大学のArthur Glenberg教授とその弟子であるウィスコンシン大学マディソン校 David Havas研究員らが、Psychological Science 7月号に発表した研究で、シワを消すためのボトックス注射を受けると、シワと関係する感情表現に関わる言語理解に影響が及ぶことがわかりました。
この研究では2週間以内にボトックス注射で眉間のシワを消す予定の患者から、ボランティアとして40名の女性被験者を募り、ボトックス注射前と注射後の2回実験が行われ、ボトックス前後での反応の違いが分析されました。
実験の内容は「怒り」「悲しみ」「幸福」という3つのカテゴリーの感情を喚起するような状況を表現した文章を読まされ、その文章がどのカテゴリーであるか理解できたらボタンを押すというものでした。
実験の前後での反応時間を比較した結果「怒り」と「悲しみ」に対する理解反応時間が遅くなっていました。眉間のシワを消すボトックス注射は皺眉筋(しゅうびきん)という顔の筋肉を麻痺させていました。
そして「怒り」「悲しみ」の感情が生じるときには、この筋肉が働いて「怒り」「悲しみ」の表情が現れますが、被験者たちはこの筋肉が麻痺しているので「怒り」「悲しみ」の表情ができにくくなっていて、そのことにより理解が遅くなってしまったのではないかと教授らは結論づけています。
またこの結果は顔面フィードバック仮説(表情表出に関連する顔面部位と特定の感情経験の間には直接的な結びつきがあり、表情表出に伴うフィードバックが大脳皮質に入力され、特定の感情を経験することになるというもの)を裏付けるものであるとしています。