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正月休み中の不規則な生活は体内時計を混乱させ痩せにくくなるリスク大

美容肥満

Posted on 2012.12.28

 


お正月休み中の不規則な生活は、体内時計を乱してしまい、なかなか痩せられない肥満に導く可能性があります。

同じ量を食べているのになぜか太ってしまう…この原因には「時間」が関係している…つまり、肥満を予防・解消するためには、「何を食べるか」に注意するだけでなく、「いつ食べるか」に十分注意をする必要があることが、ペンシルベニア大学医学部の研究者らによって明らかになり、2012年11月11日の「Nature Medicine」で発表されました。[if gte mso 9]>

研究者らはマウスを使った実験で、ビーマル1という時計遺伝子がなく、体内時計が狂って正常に作動しないマウスは、正常なマウスと同じ量のエサを食べているのにもかかわらず、肥満になることに着目。

マウスの生活リズムを比較すると、正常なマウスは規則正しく食事をしている一方で、体内時計が働かないマウスは、寝ているべき時間にエサを食べるなどして、食べる時間が不規則でした。

結論として、生活リズム、特に食事の時間の乱れで、同じカロリーのエサを食べていても、肥満になってしまう危険性を指摘しました。

研究者らによると、このメカニズムには脂肪細胞にある「ビーマル1」という時計遺伝子と、脂肪細胞から分泌される「レプチン」という食欲を抑制する働きを持つホルモンが関係しているそうです。

ビーマル1は脂肪細胞の中で脂肪をためこむ働きをするタンパク質で、ヒトの場合、夜暗くなると増え、朝明るくなると減る性質を持ち、私たちの体のリズムを作るのに関係しているため、時計遺伝子と呼ばれています。

夜食を食べると太りやすいのは、夜暗くなるとビーマル1の分泌が増え、食事から摂った脂肪を脂肪細胞にため込もうと一生懸命働いてしまうから。

また「レプチン」は、食事から摂った脂肪が脂肪細胞にため込まれ始めると、脂肪細胞から分泌され、このホルモンが発信するシグナルが、脳の「視交叉上核」にある「満腹中枢」に働いて、「お腹いっぱいだ!」と感じるのです。

ところが、食べ過ぎが続いたり、夜遅くに食べる悪い習慣を続けていくと、脂肪細胞に脂肪がたまり続け、脂肪細胞の一つ一つが肥大化していきます。そして肥大化、大型化した脂肪細胞からは、食欲を抑えるホルモンレプチンの分泌が減ってしまうのです。

肥満って、怖いですね。細胞一つ一つの性質を太りやすい状態にしてしまうのです。一度太り出すとなかなか痩せにくいのは、このように一つ一つの脂肪細胞が、「太るぞモード」になってしまうからなのです。

私たちの体に体内時計があるのはご存知だと思います。体内時計は、大きく分けて2種類。まず脳内、場所としては目の奥にある視交叉上核というところにある「主時計」と脂肪細胞など全身の細胞に存在する「末梢時計」があります。

脳の主時計は、光の刺激によって、体内の細胞一つ一つにある時計遺伝子にシグナルを送り、体を「昼モード」や「お休みモード」に調節しています。つまり視交叉上核にある主時計として働く体内時計は、体全体の指揮者みたいなものです。

一方、脂肪細胞は、オーケストラの中でもかなり音が大きい、パーカッショニストのようなものだと考えてください。指揮者がいくら指揮棒を振っても、パーカッションが指揮者の言うことを聞かずに、大きな音を立てて暴走すれば、オーケストラはめちゃくちゃなリズムとメロディーになってしまいます。

肥満した体に付いた脂肪細胞は、暴れ太鼓のように体のリズムを乱して、脳の主時計までも狂わせてしまうのです。

お正月休みが始まりました。おせち料理を囲んで新年会も楽しいですが、食べ過ぎに気を付けて、ゆっくり食べてレプチンを働かせて、不規則な食生活にならないように、特に夜遅い時間に食べて、不必要に脂肪をためこまないようにすることで、脂肪細胞を暴走させ、末梢の体内時計を狂わせないように、注意しましょう。