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【食】食事と精神疾患の発症の関係に新たな発見!

Posted on 2010.12.27

ノーベル賞を受賞した根岸博士が在籍することで日本でもその名が一般に知られるようになった米国・インディアナ州ラファイエットのパデュー大学 Joseph Garner准教授らが、Nutritional Neuroscience 12月号に発表した研究で、食事の成分が精神疾患発症の引き金になる可能性があることが明らかになりました。
以前から女性に比較的多い抜毛症や、衝動制御障害の発症メカニズムを研究していた准教授は、人の抜毛症に似た、体を引っ掻いたり、毛を抜いたりする症状の出やすい遺伝系統のマウスを使って実験しました。
最 初の実験では脳内のセロトニンの不足が、抜毛の症状に繋がっていることから、セロトニンが増えるようにマウスのエサを通常よりも8倍の砂糖と4倍のトリプ トファン(アミノ酸の1種でこの物質からセレトニンが体内で生成され、また砂糖が多いことで脳に取り込まれるトリプトファンが増しセレトニンが多くなると いうわけです)のものに変えてみました。
shokujiその結果、脳内のセロトニンの量が2倍に増えたにもかかわらず、マウスの抜毛は良くならず悪化して しまいました。次の実験では上記のマウスをその行動パターンから、①異常行動がなく正常に見えるマウス、②毛づくろいが多いのでやや毛が抜けたマウス、③ ひどく毛が抜けた抜毛症のマウス、の3グループに分け、最初の実験と同じエサを12週間与えたところ、正常に見えたグループのマウスの75%が体を引っ掻 くなどの自傷行為を始めました。しかしそのエサを与えるのをやめたところ自傷行為は止みました。博士はこの結果から、人間も同様であるとは即断できない が、砂糖などの単糖類をたくさん消費するアメリカ人も、このようなメカニズムで抜毛症を発症している可能性もあり、今後はより人間の食生活に近いレベルで どうなるか実験を進めたいとしています。