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【食】妊娠中にジャンク・フードを食べると子供がジャンク・フード好きになってしまう!

Posted on 2011.3.28

kashiオーストラリア・アデレード大学のBeverly Muhlhausler博士らが、The FASEB Journal2011年3月22日オンライン版に発表した研究で、妊娠中の母親がジャンク・フード(砂糖が多く脂肪分がたくさん含まれている加工食品)を摂取すると、胎児が出生後ジャンク・フードに病みつきになってジャンク・フードなしでは済まない人に育つことが明らかになりました。
博士らはラットを2グループに分けて実験・分析しました。妊娠中と哺乳中にAグループの雌ラットは通常実験用ラットを飼育するときに用いられるエサが与えられ、Bグループの雌ラットには人間が食べる市販の高脂肪で砂糖の多量に入ったジャンク・フードが与えられました。
A グループの母ラットとBグループの母ラットから生まれた子ラットが離乳した後で、通常のエサとジャンク・フードを子ラットが好きなように選択して食べられる環境で育て、その間何度か子ラットの脳内快感物質であるドーパミンとオピオイド系物質のレベルとそれらのレセプターのレベルが測定されました。
分析の結果、Bグループのジャンク・フードを食べていた母ラットの子供のほうがAグループの通常のエサを食べていた母ラットの子供より、明らかにジャンク・フードを好んで大量に食べていることがわかりました。さらにジャンク・フードを食べた母ラットの子供ラットの脳内では離乳後そうではないグループの子ラットに比べてオピオイド・レセプターが高水準になってしまっており、中脳辺縁系の報酬系に変化が生じていることがわかりました。
博士らはこの結果は、現代の肥満の増加がなぜ起きているのかその原因を示唆するとともに、ジャンク・フードを好まなかったり食べるのをすぐ止めたりできる人がいる一方で、なぜ食生活の改善を何度も試みてもジャンク・フード依存から脱することができない人がいるのかを明らかにしたのではないかとしています。