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【食】妊娠中に青魚を多く食べると産まれた子供がアレルギーになり難くなるメカニズムが明らかに!

Posted on 2011.9.27

フランス国立農学研究所(INRA)のGaëlle Boudry博士らが、The Journal of Physiology 2011年9月1日号に発表した研究で、妊婦が青魚やクルミに多く含まれている多価不飽和脂肪酸、特にω3不飽和脂肪酸(n- 3PUFA)を食べると、産まれてきた子供の腸がω3不飽和脂肪酸(n-3PUFA)を摂取していない場合とは違った発達をすることで、アレルギーになり にくいことがわかりました。
博士らはこれまでの研究で、妊婦にω3不飽和脂肪酸(n-3PUFA)を与えると、子供のアレルギーリスクが低下することが確認されていたものの、それがどういうメカニズムで起きているのかが明らかではなかったため、研究を進めました。
博 士らは豚を使用して実験研究を行いました。実験は妊娠中の豚を2グループに分け、ω3不飽和脂肪酸(n-3PUFA)を多く含む亜麻仁油を使用したエサを 食べるグループと、ラードを使用したエサを食べるグループに分け、妊娠期間中から子豚を出産した後の授乳期間中まで、そうしたエサを継続させて赤ちゃん豚 の腸の状態を詳しく調べました。
その結果、ω3不飽和脂肪酸(n-3PUFA)を食べていた母豚の赤ちゃん豚の腸は、ラードを食べていた母 豚の赤ちゃん豚よりも、透過性が高くなっていました。腸の透過性がより高いこということは、細菌や腸内に入った新しい物質が、腸から血液中に、より容易に 透過していくことを可能にすることを意味します。
aofishそして血液中に入った新しい物質は、赤ちゃん豚の免疫応答と抗体産生を引き起こします。結 果としてこうした赤ちゃん豚の免疫システムは、そうではない腸の性質を持った、つまりラードを食べた母豚の赤ちゃん豚よりも発達がよく、より早く成熟した 免疫システムに成長していくことになります。
こうしてより良い免疫システムができあがることで、アレルギーになる可能性が少なくなっていく という、一連のメカニズムが生じることがわかりました。博士らは、豚は人間に非常に似ているので今回の実験に使用したけれども、今後は人間を対象に同様の メカニズムが働いていることを確認する予定であるとしています