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睡眠は食べ物の栄養に影響される!

Posted on 2013.2.10



夜寝る前にカフェイン入りのコーヒーを飲み過ぎて眠れなくなるとか、温めた牛乳を飲むと眠くなることなど、飲食したものが睡眠に影響することは経験的に良く知られていますが、米国・ペンシルベニア大学のMichael A. Grandner博士らが、Appetite 2013年1月19日オンライン版に発表した研究で、食事から摂取される栄養素によって睡眠パターンが影響を受けていることが、科学的に明らかになりました。

睡眠と食べ物の関係はよく知られているのにもかかわらず、睡眠パターンと食事から摂取した栄養の関係についてきちんと科学的な方法でなされた研究結果はあまりなかったことから、博士らは2007から2008年に実施されたアメリカ全国健康栄養調査(NHANES)のデータを詳しく分析し、睡眠時間と栄養の関係を調査しました。

睡眠時間ごとに5時間以下を「超短時間」5~6時間を「短時間」7~8時間を「標準」9時間以上を「長時間」グループと分類し、各グループの栄養摂取状況との関係を抽出した結果、「標準」睡眠グループが最も多様な食物を摂取しており、反対に「超短時間」グループは最もわずかな種類の食べ物しか摂取しておらず、タンパク質と炭水化物が少ないことが分かりました。

そして「標準」グループと比較して「超短時間」グループは水の摂取、リコペン、炭水化物の摂取が少ないこと、「短時間」グループはビタミンC、水、セレニウム(ナッツや肉、甲殻類に多く含まれる)の摂取が少なく、ルテイン・ゼアキサンチン(緑葉野菜に含まれる)の摂取が多いこと、「長時間」グループはテオブロミン(チョコレートやお茶に含まれる)ドデカン酸(ラウリン酸・飽和脂肪酸)コリン(卵などに含まれる)の摂取が少なくアルコールの摂取が多いこと、などが分かりました。

博士らは、睡眠は肥満や心疾患のリスクと関係しており、今回の栄養と睡眠時間の関係についての理解が、睡眠の改善に寄与するだろうとしています。

Appetite 2013年1月19日オンライン版