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大多数のサプリメントは心疾患リスクや死亡リスクに影響しない

Posted on 2019.7.21

大部分の栄養補助食品(サプリメント)は心臓リスクや死亡リスクを下げないことが、

米国ジョンズ・ホプキンス・メディシンの研究で明らかになり、

2019年7月9日の医学雑誌「Annals of Internal Medicine」で発表されました。

 

この研究は過去に実施された277のランダム化された臨床研究の結果を分析したもので、

世界中の 992,129人のデータを用いたそうです。

対象となったのは、サプリメントと食事療法は以下のとおり。

 

【サプリメント】抗酸化剤、β-カロチン、ビタミンB複合体、マルチビタミン、セレン、

ビタミンA、ビタミンB 3 /ナイアシン、ビタミンB 6、ビタミンC、ビタミンE、

ビタミンD単独、カルシウム単独、カルシウムとビタミンDの複合サプリメント、葉酸、鉄、オメガ3脂肪酸(魚油)。

【食事療法】地中海式食事療法、低飽和脂肪(肉や乳製品からの脂肪が少ない)食事療法、

改良型脂肪摂取食事療法(低飽和脂肪またはより多くの不飽和脂肪または炭水化物でカロリーの置き換え)、

低脂肪食、低塩食、アルファリノレン酸(ALA)ナッツ、種子、植物油の多い食事療法、

オメガ6脂肪酸(ナッツ、種子、植物油)の多い食事療法

 

分析の結果、 マルチビタミン、セレン、ビタミンA、ビタミンB6、ビタミンC、

ビタミンE、ビタミンD単独、カルシウム単独、鉄を含むサプリメントの大部分は、

死亡リスク、心臓病リスクの増加または減少との関連性を示しませんでした。

 

25,580人の健康な人を対象とした25件の研究に基づく分析では、

葉酸が脳卒中のリスクを20%低下させることが明らかになりました。

134,034人を対象とした41件の研究で、オメガ3脂肪酸サプリメントの影響の可能性が評価されました。

具体的には、サプリメントを使用していない人と比較してみると、

サプリメントの使用が心臓発作リスクの8%の減少と、

冠状動脈性心臓病の7%の減少に関連していることを示唆しましたが、

研究者らは、サプリメントの使用との有益な関連性は低いと評価しました。

 

食事療法に関しては、 健康な血圧を持つ人々の低塩食を見た3,518人の3つの研究から、

死亡リスクが10%減少しました。

さらに高血圧の3,680人の参加者が低塩食を摂取した5件の研究で、

心疾患による死亡リスクが33%減少したことがわかり、

減塩食には中程度の死亡リスクを低下させる効果があると評価しました。

 

42,072人の研究参加者 を対象とした20の研究で、

カルシウムとビタミンDのサプリメントを一緒に摂取することで、

17%の脳卒中リスクの増加がみられました。

カルシウムやビタミンDを単独で摂取しても、

健康上のリスクやメリットがあるという証拠は見つかりませんでした。