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インターネット中毒とADHD、切れやすい性格

教育、子育て

Posted on 2009.10.13

 

         
 
台湾の高雄医科大学教授のチェン・ファン・イェン教授らは、10月号の『Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine』に、ADHDの子供は72%、そして切れやすい傾向の子どもは67%もインターネット依存になるリスクが高いと発表しました。

うつ傾向や社会恐怖についても相関が見られ、その傾向は特に女の子に多いということです。

アメリカシアトルのワシントン大学ミーガン・モレノ博士トディミトリ・クリスタキス博士らも、インターネットが日常生活に織り込まれている現代社会では、インターネットの乱用や依存、中毒になることに不思議はないとコメントを寄せています。

しかし今のところ、インターネット中毒に関する明確な診断基準はありません。研究者の中には、インターネットへの没頭具合、利用時間、インターネットを使いたいという激しい衝動、禁断症状、意思決定力の欠如などを用いて程度を測っているようです。

チェン教授らは、2005年から台湾の10の中学校の協力で、2293人の中学生を対象に調査を開始しました。そしてこのうちの10.8%がインターネット中毒の傾向があると診断されました。そしてそのうちで男子が女性の約2倍、オンラインゲームを利用する子供が1.8倍、毎日インターネットを利用する子供が1.47倍、週に20時間以上インターネットを利用する子供が1.9倍、インターネット中毒でない子供に比べて多かったそうです。

心理的な側面での特徴は、うつ傾向が1.56倍、ADHAが2倍、社会恐怖が1.35倍、切れやすい性格が1.83倍でインターネット中毒になる危険因子として注目に値する結果となりました。

これについてチェン教授らは、「ADHDを引き起こす原因のひとつであるドーパミンの不足が、インターネットを利用することによって、ドーパミンが分泌促進されるのかもしれない。また自制心の欠如がインターネットの使用を中止させるのを困難にするかもしれない」と分析します。

また切れやすい性格については、「現実社会では許されない激しい怒りのぶつけどころとして、インターネットを利用しているのかもしれない」と言います。