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【ライフスタイル】乳幼児期の高いレベルの養育は30年後にまで好ましい影響を及ぼす!

教育、子育て

Posted on 2012.1.28

kodomo米国・ノース・カロライナ大学チャペルヒル校のElizabeth Pungello博士らがDevelopmental Psychology 2012年1月18日オンライン版に発表した研究で,乳幼児期の質の高い養育が30年後の成人以降も、好ましい影響を与えているこ とが明らかになりました。
ノース・カロライナ大学では1970年代に、主に黒人の貧困家庭に産まれた子供たちが小学校低学年で学業に対する 適応度が低いのは、就学以前の養育環境が悪いことにあるのではないかという考えのもとに、Abecedarian Projectという乳幼児期の養育に介入し、その発達に与える影響を継続的に調査する長期研究を開始しました。
この介入実験では、主に黒 人貧困家庭の乳児111人(開始時点で平均生後4.4ヶ月で5歳まで)を2グループに分け、57人には週に5日、6~8時間、4歳までは子供3人に教師1 人、5歳のときは子供6人に教師1人がゲームと言語に基づいた教育的活動を行い、対照グループの54人には栄養と社会的なサポート、医療に関してこれらの 要素が、実験でマイナス要因とならないように与えられ、その後、成人期まで継続的に調査されていました。
既にこれまでの結果に おいて、成長過程および21歳時点で、高度の教育的養育介入を受けた子供たちが学力も高く、大学進学率や専門的な職業の資格取得などの点で、対照グループ よりも高いことが明らかになっていました。今回30歳時点での彼らの動向を調査した結果、介入グループの23%が4年生大学を卒業していたのに対し、対照 グループでは6%と約4倍の違いとなっていました。この傾向に男女差はありませんでした。
またフルタイムの継続雇用の仕事に就いている割合 が、介入グループは75%だったのに対し、対象グループでは53%、生活保護を受けた経験も介入グループでは、わずか4%だったのに対し対象グループでは 20%と、学業のみならず社会的な適応度でも大きく差が開いていました。
博士らは今回の結果も含め、こうした大きなメリットが実証されたことから、乳幼児期に質の高い教育的な養育を、貧困家庭の子供たちを含め、それを必要とする全ての子供が受けられるようにしていかなければならないとしています。