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祖母の喫煙が孫のぜん息の原因となる!

教育、子育て病気

Posted on 2013.3.9


 


女性の妊娠前や妊娠中の喫煙は、生まれてくる子供の健康に、さまざまな面で大きなマイナスの影響を与えることは良く知られていますが、米国・ロサンゼルス生物医学研究所(LA BioMed)のJohn S. Torday博士らが、Review of Obstetrics & Gynecology 2013年3月号に発表したラットを使用した実験研究で、母親が妊娠中に喫煙して、その影響を受けて生まれた子供から生まれた、すなわち喫煙祖母の孫は母親が妊娠中に喫煙しなくても、祖母の影響で、ぜん息を起こすことが明らかになりました。

博士らは妊娠中のラットにニコチンを投与し、後の世代のぜん息の発症との関係を調べ、上記の結果を得ました。

博 士はこの結果は、ニコチンが胎児のゲノムにエピジェネティックス(遺伝子自体の変異ではなく後生的に遺伝子に新たなマーキングが生じる)を生じさせ、その 結果として後の世代までより敏感で変化に感応しやすい呼吸器の状態をもたらしてしまうことを示唆しているとしています。

そして今回の結果は、妊娠中の環境因子は胎児のみならず、後の世代まで影響してしまう1例であり、なぜ遺伝性の病気の98%もが、遺伝特性の伝達の理論であるとされるメンデルの法則では説明不可能なのかが、今回のエピジェネティックスによる複数世代間伝達で説明できることも示しているとしています。

博士らはぜん息は子供の病気の中で最も多く見られる慢性疾患であり、妊婦の喫煙はその原因の1つで、かつ他の要因よりも容易に避けることが可能である、また子孫にまで影響を及ぼすことも明らかになったので、絶対に止めるべきであるとしています。

Review of Obstetrics & Gynecology 2013年3月号