コラムColumn

「針千本飲ます」は逆効果。脅すと子どもはますますウソをつく

教育、子育て

Posted on 2014.12.20

「ウソついたら針千本飲ます」という、よく考えると、こわ~い「指切りげんまん」の歌。 実は「指切り」自体も、昔、遊郭で働く女性たちが、自分の誠意を示すために小指を切って渡したという習慣に関係しているという説もあります。ウソに対する 厳罰は、こうやって子どもの頃から刷り込まれているものの、その効果も乏しく、人は誰でもウソをつくものですね。実は、人がウソをついて しまう理由は、「厳罰を与えること」にあるということが、カナダのマクギル大学の研究で明らかになり、『Journal of Experimental Child Psychology』2015年2月号で発表される予定で、その概要が発表されました。この研究では、4歳から8歳まで の子どもに、興味を引きそうなおもちゃを与えた後に、おもちゃを子どもの後ろ側に隠し、研究者が1分間不在になる間に、振り返っておもちゃを見たり、遊ば ないよう約束させて、研究者が戻ってから、本当におもちゃを見なかったかどうかを子どもたちに聞きました。そのときのようすは隠しカメラで撮影されていま した。その結果、67.5%(251人)の子どもがおもちゃを見ており、そのうち66.5%(167人)が「自分は見ていない」とウソをつきました。ウソをついた子どもの数は、年齢が高くなるほど多くなりました。さらにこの研究では、「ウソをついたら罰を与える」と、研究者が子どもに告げた場合、ウソをつく子どもの数が増え、研究者が「真実を告げることが良いことだ」と子どもたちにあらかじめ説明しておくと、正直に事実を告げる子どもの数が増えたそうです。研究者らは、子どもにウソをつかないように教育する場合、罰を与えることは逆効果で、真実を話すことが良い行いであることを子どもに説明する方が、ウソをつかない教育をするためには、より重要であると述べています。
Victoria Talwar, Cindy Arruda, Sarah Yachison. The effects of punishment and appeals for honesty on children’s truth-telling behavior. Journal of Experimental Child Psychology, 2015