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タバコをやめると太るのは腸内細菌のせいかも

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Posted on 2013.9.5

タバコをやめると、人は本当に太るのでしょうか? では、なぜ太るのでしょうか? タバコをやめた約80%の人は、やめる前に比べて平均7.7キロも太るという調査結果があり、しかもこれには腸内細菌が関係していることが、スイス国立科学財団(SNSF)の研究によって明らかになり、2013年8月の科学雑誌『PLoS One』に掲載されました。この研究はSNSFが、チューリッヒ大学病院の協力で行った、5人の喫煙者、5人の非喫煙者、10人のタバコをやめたばかりの人の3つのグループを対象に行った実験で、9週間の間に4回、便を採取して、腸内細菌のようすを調べました。実験では、体重についても調べており、タバコをやめる前とカロリー摂取の量は同じなのに、タバコをやめた人は、約2.2キロほど体重が増加していました。食べる量は同じなのにタバコをやめると太るというのは、正解のようですね。3つのグループの腸内細菌を調べた結果、喫煙者と非喫煙者には、大きな腸内細菌の変化はありませんでしたが、タバコをやめたばかりの人の腸内細菌は、9週間の間に、プロテオバクテリアとバクテロイデスの割合が増えて、ファーミキューティスとアクチノバクテリアが減っていました。つまり、タバコをやめたばかりの人の腸内細菌の種類が、著しく変化していたのです。ネズミを用いた動物実験でも、同様の結果が出ており、肥満したマウスには、プロテオバクテリアとバクテロイデスが多いことが明らかになっています。タバコをやめると、腸内細菌の構成が変わり、効率よくエネルギーを吸収してくれるために、太りやすくなってしまうのではないかと研究者らは推察しています。ということは、タバコをやめたばかりの人は、有り余ったエネルギーを消費するように、運動を行うことが必要ですね!

Luc Biedermann, Jonas Zeitz, Jessica Mwinyi, Eveline Sutter-Minder, Ateequr Rehman, Stephan J. Ott, Claudia Steurer-Stey, Anja Frei, Pascal Frei, Michael Scharl, Martin J. Loessner, Stephan R. Vavricka, Michael Fried, Stefan Schreiber, Markus Schuppler, Gerhard Rogler. Smoking Cessation Induces Profound Changes in the Composition of the Intestinal Microbiota in Humans. PLoS ONE, 2013; 8 (3): e59260 DOI: 10.1371/journal.pone.0059260