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健康にいいのはモーツァルトより波の音?

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Posted on 2009.6.20



モーツァルトのセレナーデよりも、浜辺の波打ち際の波の音のほうが、高齢者の高血圧の症状を和らげる効果が高いかもしれないという発表が、2008年9月に米国アトランタで行われたアメリカ心臓学会の高血圧研究会議において、シアトル大学のシン・イ・タン博士らによって発表されました。
使用された波音のプログラムは、副交感神経の働きを沈静させて、血管を拡張させることで、スポーツ選手の疲労回復、顎関節の痛み、慢性的な痛み、がん患者の緩和治療などとして用いられているもの。
12分間のCDでは、穏やかな波の音がゆったりと流れる中で、男性の声で深い深呼吸ができるように指導しています。
このCDと、モーツァルトの交響曲第13番ヘ長調 K112、交響曲第35番二長調K250(ハフナー)のアンダンテ部分を聞き比べする実験を行いました。
実験は、精神的に健康で老人ホームに住む降圧薬を服用する高血圧の老人を対象に4週間行われました。
その結果、収縮期血圧で比較すると、モーツァルトを聞いたグループが、6mmの血圧低下だったのに対し、波音のグループは、9mmの低下が見られました。
ほかの研究結果では、5mmの収縮期血圧の低下は、脳卒中による死のリスクを14%、冠状動脈性心臓病疾患による死のリスクを9%も低下すると報告されていることから、波音のプログラムがより効果的に高血圧の人の血圧低下に効果を発揮することを指摘しています。
ただし、実験中におもしろかったこととして、数人の波音を聞いていた実験参加者が、血圧が低下したにもかかわらず、モーツァルトに変えて欲しいと訴えたそうです。
博士らは、世の中のリラグゼーション音楽といえば、モーツァルトが定番になっていますが、ほかの音楽や音にも、モーツァルトと同様かそれ以上の効果を持つものがあるかもしれないことを指摘しました。
Tang H-Y, et al"A randomized Trial of Music versus Audio-guided relaxation Training to Decrease Blood Pressure in an Elderly population"AHA-BP 2008;AbstractP037
■■この実験に使われたハフナーという曲は、モーツァルトのセレナーデの中でも祝賀曲だし、もっとゆったり落ち着く選曲をすれば、やっぱり波よりもモーツァルトのほうが、リラックスするような気がしますが…。(ちなみに私はモーツァルト好きです)
結局、自分がリラックスできる曲を見つけておくことが大事だという結論でしょうね。