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借金を抱えると肥満になる??

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Posted on 2009.8.20

    
 
ドイツマインツ大学のエヴァ・マンスター博士らがBMC Public Healthという学会誌のオンライン版で発表した研究によると、多重債務者は、債務を抱えていない人に比べて、BMI25~30の体重超過の人が1.97倍多く、BMI30以上の肥満の人が2.56倍も多いことが、2003年のドイツの健康な人8000人と多重債務者949人の健康に関するデータを比較したところ明らかになりました。

今回の調査では長期的な観察がなく、多重債務者がいつの時点で肥満になったのかについても不明なため、債務と肥満にどのような相関関係があるのかがはっきりとはわかりません。

しかしアメリカの研究者からは、アメリカでは、カロリーをセーブした食品のほうが、カロリーがたっぷり入った食品よりも値段が高い(例えばミネラルウォーターは砂糖たっぷりの飲料よりも高い)ことが指摘され、低賃金、収入減と債務に苦しむ人々が、仕方なく高カロリーで不健康な安い食品を食べているかもしれないことを示唆しました。

さらに、不況の中、多重債務を抱える人は失業中の場合も多く、余った時間をファーストフードや安くて高カロリーな食品を食べて過ごす可能性が高いことも示唆されており、国民の健康を考える上で、低カロリーで健康的な食品の価格の上昇を抑制することも必要だという声が上がっています。

一方で、食べ物を買うお金もないほど借金を抱えた時に、本当に肥満になるかどうかは疑問…という今回の研究報告を否定するような声もありました。