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【メディカル】アメリカの自殺率は景気に影響される

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Posted on 2011.4.28

wall働き盛りの人々の自殺者の数は、経済サイクル、つまり景気がいいか悪いかや失業率などに大きく影響することが、米国疾病管理予防センターのFeijun Luo博士らによって明らかになり、2011年4月号のAmerican Journal of Public Health に掲載されました。
過去の不況については、1929~1933年の世界大恐慌、1937~1938年のニューディール政策の打ち切り、 1973~1975年のオイルショック、1980~1982年の景気二番底などが有名です。世界大恐慌の時には、1928年時点で10万人に18人だった自殺者が、1932年には22.1人に増加し、これは4年間の大恐慌の間に22.8%も自殺者が増加したことになります。逆にバブル景気で、比較的好況だった1991年から2001年までの間は、失業率も低かったために、自殺率は下がり続けました。自殺率が最も低かったのは2000年で10万人に11 人。これが下げ止まりで、その後はやや上昇しました。自殺率が経済に影響されるのは、25歳から64歳の働き盛りの年齢層で、高校生や大学生、65歳以上の自殺者数は、景気減退との関係が見られませんでした。良いニュースとしては、1928年から2007年までの自殺率を分析していくと、1928年には 10万人に18人だったものが、2007年には11.2人と、自殺率が減っていることでした。
研究者らは、今後は経済状況が悪くなる前に、自殺者が増えないような自殺予防対策を実施すべきだと提案しています。