コラムColumn

【ライフスタイル】アクションスターが共和党支持者になりやすいのは何故か?

その他

Posted on 2012.5.5

jouhannsinオーストラリア・クイーンズランド州ブリスベン市グリフィス大学のAaron Sell博士らが、Human Nature 2012年3月号に発表した研究で、進化のプロセスで獲得された、人間の男性の闘争能力が、政治的な判断などにも、大きな影響力を与えていることを明らかにしました。
生物は進化のプロセスにおいて、異性獲得競争に勝ち残り、自己の遺伝子を残すために、最適化する方向で変化してきました。動物のオスに関しては性淘汰の原理が働いて、ボス猿に見られるように「闘争能力」が重要であり、集団の社会関係に大きな影響を与えることも知られていますが、人間の男性の闘争能力は、社会科学でこれまであまり注意を向けられていなかったので、博士らは研究を進めたということです。
博士らは米国、インド、ボリビア、中央アフリカの各地で、男性のタイプと社会的な性向などの関係を調査分析しました。狩猟時代から闘争能力に優れた男性は、上半身に筋肉が多い屈強な身体ですが、そうした男性は、より権利意識が強く、怒りっぽく、怒りが攻撃性につながりやすく、これまで知られていた男性ホルモン・テストステロンによる影響よりも、2倍から4倍も上半身の逞しさの影響が大きいことがわかりました。
さらに博士らは、そうした男性の身体的能力が、政治的利害衝突の解決に対する態度に、どう影響するかを調べた結果、上半身が屈強な男性は、貧弱な男性に比べて、政治的に攻撃性(例えば軍事力)が、解決の手段として有用であると信じる傾向が高いことがわかりました。そしてハリウッドスターをサンプルに調べた結果、アクションスター(アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス、チャック・ノリス、シルベスター・スタローンなど)は、一般的には政治的左派が多く、民主党支持者が多いハリウッドにおいて、共和党政府の行った軍事行動を支持する傾向が高いことがわかりました。
博士らは成人男性の上半身の筋力の強さは、精神活動の幅広い領域において影響を持つ重要な要因となっており、過去とは違い、直接的な暴力による影響は少なくなってきてはいても、文明国においても上半身の筋力を基礎とする男性の闘争能力が、社会に大きな影響を及ぼしているのは明らかだとしています。