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低賃金労働者は血圧が高い!賃金の高低で異なる高血圧症リスク

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Posted on 2013.1.7


 
日本でも労働者の流動性を高めるために解雇規制を緩和したり、市場原理にまかせて最低賃金法を廃止せよ、などと声高に叫ばれる昨今、働く人々を取り巻く環境は厳しさを増す一方ですが、米国カリフォルニア大学デービス校のJ. Paul Leigh教授らがEuropean Journal of Public Health 201212月号に発表した研究で、低賃金労働者は賃金が高い労働者よりも高血圧症リスクが高いことが分かりました。
教授らはこれまでの研究から社会経済的要因が高血圧症リスクに影響を与えていることが示唆されていたことから、経済的要因の大きな部分を占める賃金の高低に着目し、それが高血圧症リスクに影響を与えているのかどうかを大規模なデータから分析しました。
1999年から2005年までの期間に、米国内で4回調査されて得られた被雇用者17.295人(2565歳、男女)のデータを2544歳グループと4565歳グループの2グループに分け、血圧と賃金の関係を分析しました。
体重や飲酒、年齢など含む複数の高血圧症に関するリスク要因を取り除いた上で、データを分析した結果、2544歳の若いグループでは、賃金が低いほど血圧が高いこと、また女性は年齢階層を問わず賃金が低いほど血圧が高いことが明らかになりました。
具体的には2544歳グループでは賃金が2倍になると高血圧症リスクが2530%低下し、女性では賃金が2倍になると3035%も低下することが分かりました。
教授らはこの結果から算出すると、例えば全米で11千万人の2565歳の被雇用者の賃金が10%増加すると、1年間に高血圧症患者が132千人減少することになるとしています。
 
European Journal of Public Health 201212月号