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友だちの少ない人はリスクの高い資産運用に手を出しやすい!

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Posted on 2013.1.23

 
 
 

孤独な老人が、最後は頼れるのはお金だけだと考えているというステレオタイプな人間像はいつから広まったものでしょうか。

作家の永井荷風が昭和34年に孤独死した時、浅草界隈を散策するときなども常に持ち歩いているボストンバックに現金31万円と総額2.300万円の預金通帳が入っていた(現在の価値で換算すると約600万と4億5千万円と思われます)ことが明らかになり世間で大いに話題となったそうです。

香港科技大学のRod Duclos博士らがJournal of Consumer Research 2012126日オンライン版に発表した研究で友人が少ないなど、人間関係が希薄で孤独感、孤立感を感じている人は資産運用の際により大きなリターンを求めてリスキーな選択や判断、つまりハイリスク・ハイリターンを求める傾向が高いことが明らかになりました。

博士らは孤独感が消費者の資産運用の意思決定に与える影響を調べる目的で4つの実験と1つの調査を実施しデータを分析しました。

1つの実験では被験者は親しい仲間に囲まれている時のことと自分が周囲から孤立していた時のことをそれぞれ思い出すように言われ、その後、高オッズの低配当と低オッズの高配当のどちらかの賭けをするように求められました。

その結果、孤立していたことを思い出した後は低オッズ高配当のリスキーな選択をする傾向が高くなりました。

博士らは社会関係、人間関係が豊かな場合、人は安心感があるが、それを失った場合にはどうしても多くのお金があることに心のよりどころを得ようとするため、リスキーであってもハイリターンを求めた判断に傾いてしまうので、例えば失恋、夫婦げんか、友人と仲違いしたときなどは、できるだけ重要な資産運用などの判断は、先延ばしにするべきだろうとしています。

 
 

Journal of Consumer Research 2012126日オンライン版