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結婚は健康の万能薬ではない!

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Posted on 2013.3.12


 

わが国の統計データによると40歳時点で未婚の人は既婚の人に比べて男女とも平均余命が短いことが分かっています。米国での疫学調査でも男女とも独身者が既婚者よりも寿命が短いというレポートが発表されています。
 
生涯未婚率が高まっているわが国の将来が気になるところですが、長寿を期待してとにかく結婚しさえすれば健康によいのかといえば、必ずしも常にかつ皆がそうであるとは言えないという調査結果が米国・オハイオ州立大学のHui Zheng博士らがJournal of Health and Social Behavior 2013年1月15日オンライン版に発表されました。
 
博士らは米国・国民健康聞き取り調査として1986年から2006年に集められた789.096人(2006年までに対象者のうち24.095人が死亡)のデータを分析して、結婚と健康、死亡リスクの関係を分析しました。
 
健康状態の自己評価を含むデータを分析した結果、①たとえ既婚者本人が良好な健康状態に結婚がプラスであると見な していても、実際の健康状態の悪化による死亡リスクの防御作用はないこと、②すでに健康状態が良くない人は結婚しても健康にプラスのメリットがないこと、 ③既婚者は未婚者や単身者に比べて自分の健康状態を過大評価する傾向が高いこと、などが分かりました。
 
今回の研究結果について博士らは、結婚は良好な健康状態を維持する予防機能としては重要だが、重篤な疾患に陥った 場合には助けにはならないこと、既婚者は配偶者のサポートがあるため、単身者よりも健康状態が極端に悪化しないと自己の健康状態の評価を下げず、下げると きには致命的な状態であることが多いことも明らかになったとしています。
 
しかしながら、確かに結婚が健康な生活を維持し長寿に寄与していることは明らかで、あくまでも今回の結果から考えるべき点は結婚が万能ではなく、結婚しても健康状態が改善するわけではないこと、死に至るような重篤な疾患を回復させるまでの力はないことであるとしています。
 
Journal of Health and Social Behavior 2013年1月15日オンライン版