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罰も報酬と同様の効果を持つ! 認知課題の集中力が向上

その他心理

Posted on 2013.3.22

 
 
 

わが国では現在、スポーツの場で選手の人間としての尊厳をないがしろにするような体罰と暴力が問題になっていますが、人間のパフォーマンスを向上させる方法 として、昔からアメ(報酬)とムチ(罰)を相手や状況に応じて使い分けることが大事であることは、経験的に良く知られています。

ノッティンガム大学のMarios Philiastides博士らがJournal of Neuroscience 2013年2月号に発表した研究で、罰(罰金)が、報酬(金)と同様に集中力を高め、視覚認知テストの結果を向上させる効果を持つことが明らかになりました。
 
博士らは罰を与えることが、明瞭さに欠ける分かりにくい視覚情報に基づく判断の結果に影響を与えるかどうかを明らかにする目的で、実験を行いました。
 
実験は被験者に雨で濡れた窓の向こうに見える形が、人物なのか何か他のものかを判断させるというもので、間違えると被験者は罰金を払わなければならなくなるというものでした。
 
また時に被験者は、頭に電極をつけた帽子を被り、脳波が測定され、罰金の金額の変化が脳活動にどのように影響するのかが測定されました。
 
実験の結果、罰金の金額が増えるにつれて、判断の正確さが向上することが分かりました。また、脳波を分析した結果、罰金によって被験者の脳活動にも大きな変化が生じていることも明らかになりました。
 
博士らは今回の研究について、罰による脳活動の変化が明らかになったので、なぜある種の性格特性を持つ人が、そうでない人よりも報酬や罰が大きく影響するのかを脳活動の違いから、今後解明する糸口として研究をすすめるとしています。
 
Journal of Neuroscience 2013年2月号