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大気汚染が骨粗鬆症を悪化?

その他病気老化

Posted on 2020.1.4

大気の汚れが骨の健康に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになり、2020年1月3日の『JAMA Network Open』で報告されました。

この研究は、スペインの バルセロナグローバルヘルスインスティテュート(ISGlobal) がインドで行った研究結果によるもので、

インド南部のハイベラバード市外の28カ所の村に住む約3,700人を対象に、 住民の腰椎と左股関節の骨量を測定。

さらに居住地区の空気中の「微小粒子(直径2.5μm以下の浮遊粒子)」と「ブラックカーボン」の量を測定。

調理に使用している燃料の種類に関するアンケート調査も行いました。

その結果、周囲の大気汚染、特に微粒子への曝露は、骨量の低下と関連していることが示されました。

調理用のバイオマス燃料の使用との相関は見つかりませんでした。

骨量の低下がみられた地域では、大気汚染物質の1つ「PM2.5」という微小粒子の年間平均曝露が32.8μg/ m3であり、

世界保健機関(WHO)が推奨する最大レベル(10μg/ m3)をはるかに上回っていました。

この結果について研究者は、 汚染粒子を呼吸で体内に取り込むことで、酸化ストレスと炎症を介して骨量の損失につながる可能性があることを指摘しています。

【出典】

Otavio T. Ranzani, Carles Milà, Bharati Kulkarni, Sanjay Kinra, Cathryn Tonne. Association of Ambient and Household Air Pollution With Bone Mineral Content Among Adults in Peri-urban South India.

JAMA Network Open, 2020; 3 (1): e1918504 DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2019.18504