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コロナウイルス(COVID-19)肺炎の胸部CTの特徴

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Posted on 2020.3.9

米国レントゲン線学会(ARRS)の医学会誌『American Journal of Roentgenology(AJR)』のAhead of Print版(電子版最新トピックス)2020年3月3日号によると、中国の湖南省他の4つの施設でCOVID-19肺炎の101症例を収集、CT画像や症状について分析しました。

その結果、CT画像に多く見られた病変は、患者の重症度にかかわらず、肺の中のすりガラス状の陰影(Ground-glass opacity:GGO:肺の末梢部分で炎症や腫瘍が発生している状態)が86.1%の症例に見られ、GGOと浸潤陰影(肺が感染によって炎症を起こして、肺胞内に細胞成分や液体成分が溜まってしまっている状態)の両方が発見された症例が64.4%、肺の病変部での血管拡張が見られた症例が71.3%だったそうです。

さらに肺の末梢部分に病変がある症例が87.1%、両側肺病変(両肺に感染による病変がある)症例が82.2%という特徴もありました。101例の70.2%が21~50歳で、78.2%に発症症状として発熱が見られました。家族が感染したのは5人だけでした。重症グループは軽症グループに比べて高齢でしたが、基礎疾患の有無と重症度に相関は見られませんでした。ウイルスの量と重症度には相関関係がありました。

さらにCTの所見で、胸水、牽引性気管支拡張、肺の構造的な歪み(肺線維症の可能性を示す)がみられる患者は、重症と考えて治療を行う必要があると述べています。

【出典】 Wei Zhao, Zheng Zhong, Xingzhi Xie, Qizhi Yu, Jun Liu. Relation Between Chest CT Findings and Clinical Conditions of Coronavirus Disease (COVID-19) Pneumonia: A Multicenter Study. American Journal of Roentgenology: 1-6. 10.2214/AJR.20.22976

https://www.ajronline.org/doi/10.2214/AJR.20.22976