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うがい薬は悪玉菌を減らし血糖値を改善

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Posted on 2024.3.20

うがい薬で口中の悪玉菌を減らすと糖尿病患者の血糖値が改善することが大阪大学の研究で明らかになり、2024年2月の「Scientific Reports」で研究成果が紹介されました。

 

口の中の歯周病関連菌などの悪玉細菌は口臭だけでなく、歯周病などの進行中の口内炎症がアルツハイマー病や2型糖尿病などの重篤な疾患と関連しているという証拠が増えています。 この研究では、2型糖尿病患者が消毒用うがい薬でうがいをすると歯周炎関連細菌の数が減少したことが明らかになりました。

 

消毒剤グルコン酸クロルヘキシジンを含むうがい薬を使用して、2 型糖尿病患者の口腔内に棲む歯周病関連菌 3 種、ポルフィロモナス ジンジバリス、トレポネーマ デンティコラ、タンネレラ レンギョウを減少させることができるかどうかを確認するための実験を、173人を対象に1年間行いました。その結果、1日2回以上、うがい薬でうがいをすると、水でうがいした場合に比べて、歯周病関連菌が大幅に減少することが明らかになりました。 若い患者と高齢の患者で比較した場合、若いグループでは水に比べてうがい薬を使用した方が細菌種が大幅に減少し、血糖コントロールが著しく良好でした。 この結果には個人によるばらつきがあり、うがい薬を使っても悪玉細菌が減りにくいタイプの人がいることも確認できました。

 

研究者は、口腔衛生不良が重篤な疾患に関連していることを考えると、口腔衛生を改善する簡単な方法は体調に重要な影響を及ぼし、うがい薬によく反応する可能性が高い患者を特定できれば、うがい薬の使用を推奨して、糖尿病、認知症、心血管疾患、気道感染症などの歯周炎に関連する疾患を持つ人々の生活が改善される可能性があると述べています。

 

【出典】 Saaya Matayoshi, Fumikazu Tojo, Yuto Suehiro, Makoto Okuda, Misato Takagi, Marin Ochiai, Maika Kadono, Yusuke Mikasa, Rena Okawa, Ryota Nomura, Yoshito Itoh, Naoto Itoh, Kazuhiko Nakano. Effects of mouthwash on periodontal pathogens and glycemic control in patients with type 2 diabetes mellitus. Scientific Reports, 2024; 14 (1) DOI: 10.1038/s41598-024-53213-x