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朝食が寿命を左右する?

その他教育、子育て食

Posted on 2025.9.7

朝食の時間が寿命を左右する?最新研究が示す健康の新たな指標

「朝食は一日の中で最も大切な食事」とよく言われますが、そのタイミングが寿命にも関わる可能性があることが明らかになりました。アメリカのマサチューセッツ総合病院ブリガムの研究チームは、加齢に伴って食事の時間が遅くなる傾向があり、特に朝食の遅れがうつ病や疲労、睡眠障害、さらには死亡リスクの増加と関連していることを示しました。この研究成果は2025年9月4日付で学術誌 Communications Medicine に掲載されています。

研究では、英国在住の42歳から94歳までの成人2,945人を対象に、20年以上にわたり追跡調査を実施しました。その結果、高齢者は年齢を重ねるにつれ朝食や夕食の時間が遅くなり、1日の食事時間自体も短くなる傾向が見られました。さらに、朝食時間の遅れは精神的・身体的健康問題と強く関連し、死亡リスクの高さとも結びついていたのです。

筆頭著者であるハッサン・ダシュティ博士(栄養学者・概日リズム生物学者)は、「食事の時間の変化は高齢者の健康状態を簡便にモニタリングできる指標になる可能性があります」と述べています。また、食事の習慣の変化は身体的・精神的な不調の早期警告サインとしても活用できると指摘しました。特に一貫した食事スケジュールを保つことは、健康的な老化と長寿を支える戦略の一つになり得ると強調しています。

今回の成果は、流行している断続的断食や時間制限食といった食習慣にも一石を投じています。若年層と高齢者では「遅い食事」の健康への影響が大きく異なる可能性があるため、年齢に応じた食事スケジュールの見直しが求められるでしょう。
朝食の時間を少し早めるだけで、心身の健康と長寿に近づけるかもしれません。

【出典】

Hassan S. Dashti, Chloe Liu, Hao Deng, Anushka Sharma, Antony Payton, Asri Maharani. Meal timing trajectories in older adults and their associations with morbidity, genetic profiles, and mortality. Communications Medicine, 4 September 2025 DOI: 10.1038/s43856-025-01035-x