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老化を怖がると本当に老ける

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Posted on 2026.3.3

老化が怖いと、本当に老ける?

米国のニューヨーク大学の研究によると、老化への不安、特に将来の健康悪化への強い不安は、生物学的な老化の加速と関連する可能性があることが示されました。この研究成果は、2026年2月に医学誌『Psychoneuroendocrinology』に掲載されました。

研究では、米国中年期研究(MIDUS)に参加した726人の女性を対象に、老化に対する不安の程度と血液中のエピジェネティック指標を解析しました。エピジェネティック時計(DunedinPACEおよびGrimAge2)を用いて、生物学的老化の進行速度や蓄積ダメージを測定しています。

その結果、老化不安が高い女性ほど、DunedinPACEに基づく老化速度が速い傾向が確認されました。特に「将来、健康が悪化するのではないか」という不安が、最も強く関連していました。一方で、外見の衰えや妊娠能力に対する不安は、生物学的老化との有意な関連を示しませんでした。

これまでの研究でも、慢性的な心理的ストレスが遺伝子発現の調節(エピジェネティクス)を通じて老化に影響することは示唆されていましたが、老化そのものへの不安と細胞レベルの老化指標を直接結びつけた研究は限られていました。

ただし研究者らは慎重です。本研究は一時点での観察研究であり、因果関係を断定するものではありません。また、喫煙や飲酒などの健康行動を統計的に調整すると、関連性は弱まりました。つまり、不安そのものだけでなく、不安に伴う生活習慣が影響している可能性もあります。

それでも今回の知見は、精神的健康と身体的老化が密接に結びついていることを改めて示しています。老化への不安は単なる気持ちの問題ではなく、生物学的なプロセスとも関係している可能性があるのです。

「どう老いるか」は、身体だけでなく、心の在り方とも深く関わっているのかもしれません。

【出典】

Mariana Rodrigues, Jemar R. Bather, Adolfo G. Cuevas. Aging anxiety and epigenetic aging in a national sample of adult women in the United States. Psychoneuroendocrinology, 2026; 184: 107704 DOI: 10.1016/j.psyneuen.2025.107704