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【ライフスタイル】温かい部屋で暮らすと太る

肥満

Posted on 2011.1.28

「温室育ち」とは苦労せずに過保護に育って世間知らずな人を例えた言葉。最近の研究では温かい部屋で暮らすことで、肥満になるかもしれないことが、英国ロンド ンのMRCPsych大学のFiona Johnson博士らが”Obesity Reviews”のオンライン版に発表した研究で明らかになりました。
博 士らによると、イギリスではリビングルームの温度が1978年には18.3℃だったのに対し、2008年には19.1℃に上昇。寝室は15.2℃から 18.5℃まで大幅に上昇しました。一方アメリカでは、1987年も2005年もリビングルームは21.3℃と変化がなく、寝室は19.3℃から 20.2℃へとわずかに上昇していました。
人は、寒い環境におかれると、血管が収縮し、さらに骨格筋線維を震わして表面の体温を下げます。
人 間のエネルギー代謝率がもっとも低くなるのが25~27℃だそうです。私たちの体にある「白色脂肪細胞」がエネルギー保存の役割をしているのに対し、褐色 脂肪細胞は体温の調節に使われていることは明らかです。そこでPET検査を行って、褐色脂肪細胞の働きを観察したところ、やはり寒い環境で活発に熱エネル ギーを消費(放出)していることがわかりました。
heya博士らが行った実験では、室温を22℃から16℃に下げた場合の褐色脂肪細胞を比較しました。結果を分析して試算した場合、1年間に約4kgの体重減少になるということです。
食 事の量に関しては、室温が上がったために若干の食欲減退による食事からの摂取カロリーの減少があったとしても、非常においしい食事があれば、この程度の室 温上昇では食欲に大きな影響を及ぼさないということです。つまり、温かい部屋で暮らすことで、減った基礎代謝量を挽回するために、食事のカロリーを減らす ことで埋め合わせをすることは難しく、これが原因で現代人の肥満が増えているのかもしれません。