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【ライフスタイル】睡眠時間が短いと遺伝による肥満リスクが発現し易くなる!

肥満

Posted on 2011.6.22

Himanid米国・ミネソタ州ミネアポリスで、2011年6月11-15日まで開催された SLEEP2011で、ワシントン大学のNathaniel Watson准教授らが発表した研究によると、睡眠時間が短いとその人の有する肥満要因に関わる遺伝的なリスクが発現しやすくなることが明らかになりまし た。
准教授らはこれまでの研究で、睡眠時間が短いと肥満に繋がることが知られていることから、睡眠時間が肥満に関わる遺伝的な要因に影響を及ぼしているのかどううかを調査する目的で、研究を企画しました。
調 査対象となったのは、ワシントン大学に調査協力を登録している1811組の双生児(一卵性933組、二卵性878組、男性37%女性63%、平均年齢 36.6歳)で、彼らから各自の睡眠時間とBMI値の回答を得ました。調査対象となった双生児の平均睡眠時間は7時間11分で、BMI値の平均は25.4 でした。彼らから得たデータを行動遺伝相互作用モデルで分析したところ、睡眠時間は32%が遺伝的な要因で決定されており、環境が睡眠時間に与える影響 は、ほとんどないことがわかりました。
そして睡眠時間が短いほどBMI値が大きくなり、肥満傾向が強まっており、また睡眠時間が7時間の 場合、BMI値の遺伝率は、睡眠時間が9時間の場合に生じるBMI値の遺伝率の2倍でした。これは睡眠時間が短いほうがその人の持っている遺伝による BMI値に増大傾向、すなわち遺伝的な肥満要因が発現しやすくなり、逆に睡眠時間が長いと、この遺伝的な肥満要因が抑制され、発現しにくくなることを意味 しています。
准教授らは将来的にBMI値を決定する特定の遺伝子型を研究するために、この睡眠時間とBMI値に関する理論が役に立つのではないかとしています。