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味の好みと味覚の敏感さがメタボリックシンドロームに影響する!

肥満

Posted on 2013.2.19

肥満
フェニルチオカルバミドという物質を苦く感じることができ、遺伝的に味覚に敏感な人をsupertaster(スーパーテイスター)と呼びます。
この物質を苦く感じるためにはTAS2R38という遺伝子が存在しなくてはならず、これらの遺伝子がなく上記の物質を苦く感じない人は味盲とされています。
世界的にはアジア人やアフリカ人、アメリカ先住民にこの遺伝子保有者が多く、世界的に見ると約70%の人が上記の物質を苦いと感じますが、ヨーロッパ系には味盲が比較的多いといわれています。また女性のほうが男性よりも苦味を感じる率が高いとされ、苦味に敏感なこうした人々はコーヒーやお茶を好まず、喫煙率も低いという研究結果もあるようです。
こうした味覚の敏感さや味の好みが食習慣に影響を及ぼしメタボリックシンドロームリスクにも関係していることが米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のGabrielle Turner-McGrievy博士らがJournal of Food Science 2013年2月号に発表した研究で明らかになりました。
博士らは196人の被験者を対象に味覚の好みと敏感さを踏査し、食生活と健康状態の関係について調べました。被験者は甘い物好きかどうか、味覚に敏感かどうか(スーパーテイスターかそうでないか)の4つの属性に別けられて分析されました。
その結果、甘い物好きで味覚が敏感な人と甘いものが好きではない味盲の人は、甘い物好きの味盲の人や甘いものが好きではない味に敏感な人よりもメタボリックシンドロームのリスクが高く食物繊維の摂取が少ないことが分かりました。
博士らはメタボリックシンドロームの予防のためにはこうした味覚傾向や味覚の敏感さを調べた上でその人の特性にあった食生活の改善プランを行うことが大事になるだろうとしています。
Journal of Food Science 2013年2月号