コラムColumn

腸内細菌の量と種類がメタボと関係

肥満食

Posted on 2013.9.3

世界で最も深刻な健康問題は、肥満です。WHOによるとBMI30以上の肥満者は2005年時点で5億人、そして2015年には7億人に増える見込みです。原因は、運動不足と高カロリー食にいつでも自由にアクセスできる環境だと言われています。そんな中、同じ肥満者でも腸内細菌によって、肥満にともなう生活習慣病の発症リスクが異なるという報告がありましたので紹介します。腸内細菌の種類と量が乏しい肥満者は、そうでない肥満者に比べて、心血管障害や糖尿病になりやすいことが、ベルギーブリュッセル自由大学の研究で明らかになり、2013年8月29日付の科学雑誌『Nature』で報告されました。この研究は169人お肥満者と123人の健常者を、それぞれ腸内細菌の種類と量が豊富なグループとそうでないグループに分けて比較研究を行ったものです。その結果、腸内細菌の量と種類が乏しい肥満者は、腸内細菌の豊富な肥満者に比べて、糖尿病や心血管疾患を起こすリスクが高いことが明らかになりました。研究者らは、腸内細菌と慢性炎症の関係がこの結果に関係しているのではないかと推察しています。もちろん肥満を改善することが健康を維持することにもっとも貢献しますが、それがなかなか実現できない肥満者は、腸内細菌の量と種類を増やすことで、肥満による合併症のリスクを少しでも高めないようにすることが可能です。
Emmanuelle Le Chatelier, Trine Nielsen, Junjie Qin, Edi Prifti, Falk Hildebrand, Gwen Falony, Mathieu Almeida, Manimozhiyan Arumugam, Jean-Michel Batto, Sean Kennedy, Pierre Leonard, Junhua Li, Kristoffer Burgdorf, Niels Grarup, Torben Jørgensen, Ivan Brandslund, Henrik Bjørn Nielsen, Agnieszka S. Juncker, Marcelo Bertalan, Florence Levenez, Nicolas Pons, Simon Rasmussen, Shinichi Sunagawa, Julien Tap, Sebastian Tims et al. Richness of human gut microbiome correlates with metabolic markers. Nature, 2013