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脂肪燃焼を引き起こす脳ホルモンを発見~肥満治療薬への応用に期待

肥満

Posted on 2017.2.2

米国スクリプス研究所の動物モデルを使用した研究によって、生物の体内で脂肪燃焼を引き起こす物質を特定し、その成果が2017年1月の『Nature Communication』に発表されました。これまでの研究で、神経伝達物質「セロトニン」が脂肪燃焼を促進することが明らかになっていましたが、そのメカニズムに関しては不明でした。
スクリプス研究所の研究員らは、線虫を用いて、脳のセロトニンと脂肪燃焼を引き起こす経路を突き止めようと試みました。その結果、FLP-7(フリップ7)という物質が、セロトニンによる脂肪燃焼促進に関係していることを突き止めました。このFLP-7という物質は別名「タキキニン」とも呼ばれ、哺乳類の腸の収縮を促進させる働きがあることが、80年以上も前から明らかになっており、脳と腸をつなぐ物質の1つだと考えられていました。今回の研究では、FLP-7がセロトニンレベルの上昇に応答して、脳内のニューロンから分泌されたことを明らかにしました。 さらにその後、FLP-7は循環系を介して、食物摂取の影響を受けることなく、腸内の脂肪燃焼プロセスを稼働させました。さらにFLP-7は腸の受容体細胞を活性化し、腸は脂肪細胞をエネルギーに変換し始めたということです。FLP-7、別名タキキニンは、痛み、辛み、熱の刺激などを脳に伝えたり、脳から血管や腸へ指令を出す神経伝達物質で、血液を介して全身に運ばれて、血管の拡張や腸の運動を促進することが知られており、今回の研究成果によって、新たな肥満治療薬の開発などへの応用が期待されています。

●出典
Lavinia Palamiuc, Tallie Noble, Emily Witham, Harkaranveer Ratanpal, Megan Vaughan, Supriya Srinivasan. A tachykinin-like neuroendocrine signalling axis couples central serotonin action and nutrient sensing with peripheral lipid metabolism. Nature Communications, 2017; 8: 14237 DOI: 10.1038/ncomms14237