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20代~30代女性に多い子宮内膜症

女性病気

Posted on 2009.4.6

初経年齢の早期化、晩婚化、少子化などで、20代、30代の子宮内膜症は、年々増える傾向にあると言われています。

■子宮内膜症の原因
子宮内膜症の原因は、はっきりとは解明されていませんが、子宮内膜という増殖性の高い細胞が月経血と一緒に、体外に排出されずに体内に逆流することで起こります。

逆流した月経血に混じった子宮内膜は腹膜、卵巣、直腸と子宮の間にある『ダグラス窩』など(主に骨盤内)で、増殖してしまい、コブ(腫瘤や膿胞)や癒着を作って激しい痛みや炎症、不妊を引き起こすのが子宮内膜症という病気です。

■自覚症状
子宮内膜症の自覚症状は次のとおりです。日本人女性は、痛みに強く、激しい月経痛でも、我慢してしまい、子宮内膜症の早期発見が遅れてしまうこともあるので、注意しましょう。

①ひどい月経痛
②腰痛
③排便痛
④性交痛
⑤月経時以外でも下腹部痛や腰痛が起きる
⑥月経量が多く、レバー状の血の塊のようなものが出ることがある
⑦月経期間が長い
⑧めまい、貧血、だるさなどを感じる

■診断法
産婦人科で、問診票に、初経年齢や月経周期、月経の状態などを記入します。

それをもとに医師が質問し、超音波検査(下腹部にゼリーのようなものを塗って、機械を当てて超音波で子宮や卵巣などのようすを見る検査)と内診(医師が直接触診して、異常がないかどうかを確かめる検査)、必要があれば直腸診(肛門から触診を行う検査)などを行い、診断します。


■治療法
癒着やコブ(腫瘤)が小さければ、薬のみの治療で改善することが可能です。

①女性ホルモンの分泌を低下させて子宮内膜の増殖を抑制する働きのある薬をのむ方法(GnRHアナログ療法)
②男性ホルモンと同じような作用をする薬を投与して、女性ホルモンの分泌を抑える方法(ダナゾール療法)
③避妊用のピルで人工的に妊娠している状態を作る方法(偽妊娠療法)
④子宮内膜の増殖を抑える女性ホルモンの黄体ホルモンを投与して、患部の内膜増殖も抑制する方法(黄体ホルモン療法=最新の療法で副作用も少ないと言われています)

などを行いながら、子宮内膜症自身の痛みを和らげる鎮痛剤などをのみます。

妊娠の予定がなく、月経痛がひどい場合は、通常よりもホルモン量が少なく、副作用も比較的少ない『低用量ピル』で子宮内膜の増殖を抑えることもできます。

手術が必要な場合は、5㎝以上の膿胞が卵巣にあるなどのときは、破裂の危険を避けるために除去手術を行うことがあります。最近では、腹腔鏡手術がほとんどなので、傷も目立たず、術後の回復も早くなりました。

■まとめ
いずれにせよ、女性にとって、月経は健康を示すバロメーターですから、痛みを我慢せずに、「いつもと違う」と感じたら、早めに産婦人科の医師に相談しましょう。