コラムColumn

男性ホルモンで女性の記憶力が改善する?

女性脳

Posted on 2011.6.11



オーストラリア・メルボルンMonash UniversityのSonia Davison博士らが米国ボストン市で2011年6月4-7日に開催されたThe Endocrine Society's 93rd Annual Meeting(内分泌学会93回年次総会)で発表した研究で、閉経後の女性の記憶力が、テストステロン(男性ホルモン)をスプレーで肌に吹きかけること で(経皮吸収テストステロン)改善することがわかりました。

博士らは9人の閉経してから間もない健康な女性(47歳から60歳)を被験者として、肌に吹き付ける経皮吸収テストステロン・スプレーを使用して、彼女たちの血中テストステロン・レベルを妊娠適齢期の女性と同水準にまで回復するようにして、半年間継続的に使用させまた。

コンピュータを使用した詳細な認知記憶機能検査も、開始前と終了時に実施し、効果を調査しました。同時に比較対象のため、閉経して間もない何らホルモン補充療法などを受けていない30人の健康な女性にも、同様の認知記憶機能検査を実施しました。

開 始時点でテストステロングループと、比較対象グループの間に、認知・記憶能力の差はありませんでした。半年後の認知記憶能力検査の得点を分析したところ、 比較対象グループの得点に変化が見られなかったのに対し、テストステロン補充グループの被験者女性たちの、聴いた言葉を記憶する能力が、統計的に有意に向 上していることが明らかになりました。

この結果から、博士らは閉経後の女性は、同年代の男性よりも認知症になるリスクが高いことが知られており、このテストステロン・スプレー療法が、閉経後女性の認知能力減退に歯止めをかけ、認知症予防に効果的な方法として有望なのではないかとしています。