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増える?! アルツハイマー型認知症

病気脳

Posted on 2009.12.12



認知症の高齢者の数は
1995年が、126万人
2000年が、156万人
2005年が、189万人
2010年が、226万人
2015年が、262万人
2020年が、292万人

さらに、85歳以上の高齢者の27.3%が認知症なのだそうです。

研究も少なく、認知症のメカニズムを知られていなかった80年代までは、「認知症の多くは脳血管の障害によるもの」と考えられていました。つまり、脳の血管が切れたり、詰まったりして、脳の細胞が低酸素、無酸素状態で壊死して機能しなくなったと考えられたのです。

しかし、認知症の診断基準の確立や、脳のMRIなど、画像診断の技術の発達、認知症の病態研究が盛んになったこと、早期発見・早期診断・介入することで、認知症の進行を遅くする治療が発達したことなどで、認知症薬物療法も徐々に浸透しているようです。

現在アルツハイマー型認知症の治療薬として一般的に用いられているのが「塩酸ドネペジル」。商品名は「アリセプト」です。

アルツハイマー病の人は,脳の神経と神経の情報を伝達する役割を持つ「アセチルコリン」という物質が減少することで、短期記憶に問題が生じると考えられています。

「塩酸ドネペジル」は、アセチルコリンが分解されるのを邪魔して、アセチルコリンの量を減らさないようにする薬です。

この塩酸ドネペジルによって、アルツハイマー型の認知症の進行を遅らせたり、患者の抑うつ状態、患者と介護者のQOLが改善することが、公益社団法人地域医療振興協会地域医療研究所地域医療研修センター副センター長の八森淳先生の研究でわかってきました。

例えば、服を着る、ボタンをかける、、歩く、食事をする、不安、痛みや不快感などに関しても薬の服用によってわずかながら、改善が見られたそうです。

八森先生の研究でおもしろかったのは、塩酸ドネペジル投薬治療の経済効果を測定するという試み。

その結果、患者と介護者に、年間約120万円以上のプラスの経済効果をもたらすという結論でした。