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脂肪燃焼&血糖低下を促進するアディポネクチンは、運動と同様の抗メタボ効果を発揮

病気肥満運動

Posted on 2010.4.9

adi3月31日付のNatureオンライン版で発表された、東京大学医学部附属病院門脇孝教授、山内敏正特任准教授ら の研究によると、脂肪燃焼や血糖低下を促進する善玉ホルモンの“アディポネクチン”は、おもに筋肉細胞に存在するアディポネクチンの「1型受容体」と結び つくことで、筋肉細胞のミトコンドリアを増やし、同時にミトコンドリアの機能も改善し、その結果、代謝機能を高めるAMPキナーゼと長寿遺伝子SIRT1 を活性化し、また、細胞内カルシウム濃度も上昇させます。
これらの経路の活性化は、運動することで実現できることが、すでに確認されています。また内臓脂肪型肥満によってアディポネクチンの分泌は低下します。
門 脇教授らは、アディポネクチンの1型受容体を欠損したマウスが、PGC-1αというミトコンドリアを構成する分子を統合的に制御する分子の減少を起こし、 ミトコンドリア自体の量と機能も低下することを発見。ミトコンドリアの減少と機能の低下が、運動持久力や代謝機能を低下させ、運動不足による糖尿病やメタ ボリックシンドロームを引き起こすことが分かりました。
このメカニズムを応用して、アディポネクチンの1型受容体の働きを高める薬を開発 すれば、内科疾患や運動器疾患で運動ができない患者さんに対しても、運動した場合と同じような効果を発揮して、アディポネクチンの働きを高めることで、脂 肪燃焼や血糖低 下を促進し、糖尿病やメタボリックシンドロームの治療薬になることが期待できると述べています。