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【メディカル】パーキンソン病患者の脳細胞では発症前からミトコンドリア機能が低下している!

病気脳

Posted on 2010.10.13

ILLUSION inc米国・ハーバード大学医学部のClemens Scherzer助教らがScience Translational Medicine 10月6日号に発表した研究で、パーキンソン病患者の脳細胞では、いくつかの遺伝子の影響で発症前からミトコンドリアが機能しなくなり脳細胞へのエネルギー供給が打撃を受けていることがわかりました。パーキンソン病は中脳の黒質のドーパミン神経が減ってしまい、本来ドーパミン神経によって線条体へ運ばれるドーパミンが減少することで、様々な症状が発症することが知られていましたが、なぜドーパミンが減ってしまうのかは明らかになっていませんでした。
助教らはパーキンソン病患者の大脳から得た黒質組織185サンプルを分析しました。研究ではこの黒質組織からレーザー光線によって、パーキンソン病で侵されたドーパミンニューロンが切り出され、このドーパミンニューロンの遺伝子の活性を調べ、何が関係しているのかを特定していきました。その結果、PGC-1α(ミトコンドリアDNA合成および脂質酸化促進などに関わる因子)調節遺伝子から発する10組の遺伝子セットが、パーキンソン病と関連していることがわかりました。助教らはこの10組の遺伝子により、患者の脳では症状の出るかなり以前の段階から、ミトコンドリアの機能が低下し、エネルギー供給が減るためにドーパミンニューロンが死滅していくのではないかとし、今後の研究により早い段階からミトコンドリア機能を高めることで治療を行うことでパーキンソン病発症の予防や遅延が可能になるのではないかとしています。nou