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【食】アルコールが血圧に及ぼす影響には男女差がある!

病気食

Posted on 2011.5.26

ASH米国・ニューヨークで、2011年5月21~24日まで開催されたASH(American Society of Hypertension)2011で、St. Luke's-Roosevelt Hospital CenterのFranz Messerli医学博士が発表した研究で、アルコール飲料消費が高血圧症の発症に与える影響には、男女差があることが明らかになりました。
博 士らは1966年から2010年までに発表された、血圧とアルコール消費に関係する16の研究をメタ分析しました。今回分析の対象となったデータは18歳 から80歳までの男性158.142人と、女性314.258人で、4年から20年の継続的調査が実施されていました。
データを分析した結 果、高血圧症発症リスクが、全くアルコール類を飲まない人のリスクを1.0として比較した場合、女性では1日アルコール量消費量が10g未満(アルコール 5%のビールで換算した場合約200ml未満)の場合は0.87、10~20g(ビール200~400ml)では0.90とリスクが低下していましたが、 20~30g(400-600ml)では1.16、30g以上(600ml以上)では1.19とリスクが上昇し、アルコールと高血圧の関係のグラフが、J カーブを描いていました。一方、男性では、10g未満で1.01、10~20gで1.09,21~30gで1.07、30g以上で1.42と、全く飲まな い人に比べてわずかであっても、アルコールを摂取によって、リスクが上昇することがわかりました。
女性では低量のアルコール(355mlの缶ビール1本程度)はプラスになりますが、男性では高血圧に対してはアルコール摂取は低量であってもマイナスであり、摂取量が多くなる場合、女性に比べて著しくリスクが上昇していることもわかりました。
博士はメタ分析データでは、摂取したアルコール飲料の種類が不明だったり、高血圧の定義が一定ではなかったりなど留保されるべき点があり、更に研究を進める必要があるとしています。