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【食】柑橘系フルーツが脳卒中リスクを低下する

病気脳食

Posted on 2012.2.27

kankituオレンジ、グレープフルーツなどの柑橘系のフルーツが、女性の脳卒中を予防する働きを持っていることが、イギリスのEast Anglia大学のAedin Cassidy博士らの研究で明らかになり、米国心臓協会の発行するStrokeに報告されました。
オ レンジなどの柑橘系のフルーツと言えば、以前からビタミンCの抗酸化作用が注目されていましたが、米国の看護師を対象とした大規模疫学調査である「ナー ス・スタディ:米国看護師調査」の結果を、研究者らが分析した結果、ビタミンCは、脳卒中の予防に関係がなく、柑橘系のフルーツに含まれるポリフェノール の一種である「フラバノン」という成分が、脳卒中を予防する効果があるとみられています。
「ナース・スタディ:米国看護師調査」によると、 研究対象の女性たちが摂取したフラバノンなどのフラボノイドの63%は、オレンジジュースやグレープフルーツジュースからのものですが、研究者らは、 ジュースよりもフルーツを食べる方が脳卒中予防につながると示唆しています。
今回脳卒中の予防効果が報告されたフラバノンは、柑橘系のフ ルーツの色素です。フラバノンは、もっとも一般的に摂取されている6つのフラボノイドのうちのひとつで、ほかの研究では、ブルーベリーなどに含まれる「ア ントシアニン」というポリフェノールには高血圧の改善効果、リンゴなどに含まれる「フラボノール」には脳卒中予防効果があると報告されています。
研 究者らは、7万人の食品摂取頻度に関するデータを分析し、14年間にわたり、4年ごとに食事に関する習慣を継続的に調査し、フラボノイドの摂取量が1日平 均761㎎という最も多いグループと、フラボノイドの摂取が1日平均97㎎という最も少ないグループを比較しました。その結果、最も多くフラボノイドを摂 取しているグループは、もっとも摂取していないグループに比べて、19%ほど、脳卒中のリスクが低いことが明らかになりました。
この結果に ついて研究者らは、今回の疫学調査では、フラボノイドの脳卒中予防効果が明確に示されていなかったものの、ミカンやレモンの皮に含まれる「ヘスペリジン」 は毛細血管の保護、抗アレルギー、コレステロール抑制効果、「ナリンギン」は柑橘系フルーツの苦み成分で、抗酸化、食欲抑制、脂肪の分解促進などの効果が 報告されており、これらの複数のポリフェノール、ことにフラボノイド系成分の持つ特性が、脳卒中リスクを下げている可能性があると指摘しています。