コラムColumn

【メディカル】心臓移植拒絶反応がクラシックの名曲で抑制された!マウスの実験で立証

病気

Posted on 2012.3.29

ongaku天皇陛下の心臓バイパス手術を成功させ脚光を浴びた天才心臓外科医の天野篤教授が率いる順天堂大学心臓血管外科に所属する内山雅照医 師らが、Journal of Cardiothoracic Surgery 2012年3月23日オンライン版に発表した研究で、心臓移植したマウスにクラシックの名曲を聴かせると、ポップ・ミュージックを聴かさ れた場合よりも、免疫反応である拒絶反応が抑制され、移植後に2倍も長生きすることが明らかになりました。
これまでにも音楽は心臓発作後の 患者の不安を減らすためや骨髄移植時の悪心や痛みを減らすためなど、臨床の場で有効性が認められ利用されてきました。内山医師らは血縁関係のないドナーマ ウスの心臓を移植されたマウスを使用して、音楽の免疫システムに与える影響を実験的に調べました。実験では心臓移植されたマウスに、種類の異なる音楽やリ ズムを移植後、1週間継続して聴かせて生体反応を詳しく分析しました。
使用された音源はクラシックからベルディのオペラ「椿姫」(ショル ティ指揮デッカ1995)、モーツァルトの名曲(決定版モーツァルトのすべて・ベルリン・フィル他ポリドール1999)、ポピュラーミュージックからエン ヤのペイント・ザ・スカイ-ザ・ベスト・オブ・エンヤ(1997)、音楽ではない可聴周波数の異なる単なる音、の4つで比較対照されました。実験の結果、 オペラ「椿姫」を聴かされたマウスは術後平均26日、モーツァルトでは20日生きていたのに対し、エンヤは10日、単なるモノトーンの音ではたった7日で した。また聴覚機能を失わせたマウスではオペラ「椿姫」が鳴っているところにいても7日で、延命効果はありませんでした。
血液サンプルを分 析した結果、オペラとモーツァルトを聴かされたマウスでは、炎症反応を促進するインターロイキン2とガンマ・インターフェロンの濃度が他のグループより低 くなっており、一方炎症を抑えるインターロイキン4,10がより高いレベルにあることがわかり、クラシックの曲を聴かされることで移植臓器に対する拒絶反 応が低下していることが判明し、さらに移植後の延命期間が異なる結果となった理由も明らかになり、音楽が免疫反応に影響を与えていることが立証されたとい うことです。