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【メディカル】A型の人はロタウィルス胃腸炎に罹りやすい?!

病気

Posted on 2012.5.1

virusロタウィルスは世界中でみられる最もありふれた胃腸炎、下痢症の原因ですが、赤ちゃんや子供には重篤な下痢症状を引き起こす場合があ り、罹患患者の約10%が入院していると言われ、また毎年世界で60~80万人がロタウィルスの感染によって亡くなっていると推定されています。
米 国・テキサス州ヒューストン市ベイラー医科大学のB. V. Venkataram Prasad教授らがNature 2012年4月15日オンライン版に発表した研究で、血液型がA型の人は、ある系統のロタウィルスに、他の血液型の人 よりも罹患しやすいことが明らかになりました。
動物に感染するロタウィルスの系統では、ウィルスのスパイクの頂点が、シアル酸分子を末端とする糖鎖であり、そこが宿主の細胞の糖鎖レセプターに吸着して侵入していきますが、人間に感染するウィルスでは、シアル酸分子がウィルス側にないことが知られていました。
教 授らは人間に感染するロタウィルスの場合に関して、どのようになって侵入しているのかを詳しく研究していたところ、VP8型という遺伝子型のロタウィルス に関しては、人間のA型血液の血液型抗原のみが、この型のウィルスのスパイクに対する糖鎖のレセプターとして相互作用し、侵入を許すことが明らかになりま した。
これまでにノロウィルスやピロリ菌などに関しては、腸管内細胞に吸着し、侵入することに関して、血液型抗原が促進的な働きをしていることが知られていましたが、ロタウィルスに関してはA型のみですが、今回初めて明らかになったということです。
そしてさらに研究を進めた結果、人に感染するP14という系統のロタウィルスが、A型に感染することがわかりました。教授らは今後、他のロタウィルス系統と血液型との関係について研究をすすめるとしています。